【d!】お願いのお願い②【軍パロ】 (ページ18)

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｢魔法を教えてくれたのは祖母だな。植物を育てるのが得意で……薬草を育てて街に卸すのに着いていっては迷子になっていた気がする｣
｢アンタも迷子とかなるんすね｣
｢私も人の子だぞ……。両親は両親で仲が良くて、あんまり構ってもらった記憶はない。お互いと魔法の研究のことでいっぱいだったんだろうな｣

両親との希薄な関係を語る声色には薄く悪意が乗ったような気がした。彼女とて祖父母ではなく両親に甘えたいと思ったことがあるのだろう。

｢前回の集会は北が主催で……一応魔法が使えたから祖母に連れられて参加したんだ。たまたま隣に来た魔女に貰った飴が美味しかったとか、庭で色んな人に魔法を見せてもらって楽しかったとか、大した記憶は残ってない｣

先程の女はその集会で出会ったのだろうか。Aさんが語る集会にはさほど悪感情は無いようだが、実態がどうであったかはこの場で彼女のみぞ知る。

｢見ての通り周りに人が住んでなくて、その分遊んでくれていた祖父母は多分、人より優しかったんだろうな｣

その祖父母に負けず劣らずAさんだって優しいのだ。誰かを大事に出来て、約束を守るために自分の感情を二の次にしてしまうほどに優しい。
ただ、それを彼女に伝えたとしても受け入れることはないだろう。どこまでも自罰的で背負い込む気質だから、逆に受け取って拗らせるかもしれない。

｢……さて、と｣

歩いて数分、Aさんの昔話が一段落したところで並び立つ墓石が見えてきた。十あるかどうかといった小さな墓地である。