三曲目 �� ページ13
.
お化け屋敷のようだと思っていたビルに通い慣れて、あの頃の恐怖感や先入観が霧散してきた頃。
月謝を負けてもらっている感謝もあるためにせっせとビル周りを掃いたりと奉仕した成果か、溜まっていた枯葉や好き放題に張られていた蜘蛛の巣は姿を消していた。
スタジオが地下にあるためパッと見では分かりづらかったため、カフェのように立て看板を出してチラシを置くようにしたら順調にチラシが消えている。
これはそのうち体験希望が来るのでは？とオスマンさんと2人で日々体験レッスンの内容を練っていた。
｢……………………ｽﾞﾋﾞ｣
今日はオスマンさんがスタジオに来るとの事で、久々のレッスンである。
最近はもはや事務員扱いというかスタジオの鍵を預けられて毎日開けてゾムくん達を迎え入れ、彼らの気まぐれで相手をしてもらいボッコボコに指導されるのが常だったので楽しみにしていた。
しかし今目の前に広がっている光景は何だ？
｢……あ、ずびばぜん……｣
｢いえ、あの……｣
いつもは私が一番乗りなスタジオも、オスマンさんがいる時ばかりはオスマンさんが必ず一番である。
彼がいる限り私はレッスンを受けに来た生徒なので、それ相応の扱いをしたいらしい。
そんなスタジオの扉はいつも通り開いていて、しかしまだ電気を付けていないのか薄暗いスタジオに足を踏み入れれば凄まじい湿地が隅に出来上がっていた。
ズビズビと鼻をすすりながら隅で丸まっているのはどう見ても成人男性で、そのうちキノコが生えてきそうな程にジメジメとしている。
勤めていた企業がアレだったので突然泣き出す成人男性は割と見慣れているが、ヤツらは手を動かし笑いながら泣いていた。
つまるところこうまで鬱屈としながら泣く成人男性を見たのは初めてなのだ。
｢エーミール、いつまでやっとんねん｣
｢オスマンさん……｣
男性更衣室の掃除をしていたのかモップを手に持ったオスマンさんが顔を出す。
先日大きな試合に出場したらしく、その名残かいつもより髪はツヤツヤだし肌の調子も良さそうである。
師が健康だと生徒は嬉しいです、頼むから甘いものの爆食いはやめてください。
ダンサーにあるまじき体型になるとか身体壊すとか、凄まじい量の心配事があるので。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
極p(プロフ) - 主様…めっちゃ好きです()こんな様な話を書きたい…書かせていただいてもよろしいでしょか？ (7月9日 19時) (
レス) @page35 id: f11d12415f (このIDを非表示/違反報告)
ピット☆(プロフ) - 更新お待ちしてます…！ (2022年4月8日 19時) (レス) @page35 id: 9c7661f737 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - すこ、、、え、rnさんめっちゃ初心じゃん。解釈違いだったのに引きずりこまれる、、、knさんの変貌好きです。髭面サンダルで普段コンビニ行くくせにスイッチ入れば王たる風格とか、イケメン代表のギャップじゃん、、、 (2021年10月29日 23時) (レス) id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
トロピカルじゅーす(プロフ) - おお…めちゃ面白いです！まぁ、コミュ障の私にとっては一生できないと思いますけど…。でも、本格的な社交ダンスやってみたいなぁ… (2021年10月1日 17時) (レス) @page8 id: f1623e6737 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：志摩 | 作成日時：2021年9月30日 21時
