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【3】S ページ3







 「帰るところ無いんでしょ?」





 俺のこと、全部知ってるかのような話し方















 「なんで、‥」




 「帰るところ無いなら、うちおいで。


 夜の街は危ないですから。」




 夜の街が危ないことぐらい知ってる



 でも行くところないからここにいる



 リスクは承知の上だ。















 「‥だれですか、あなた」




 にこにこと俺を見つめるその人は

 俺を彼の言う‘うち’に連れて行きたそう










 「僕の名前は、かずなり。

 にのみやかずなり。」




 「にの、みや‥」





 教えられた名前を声に出してみる




 「そう。きみの名前は?」




 「しょう。」




 「名字は?」




 「わすれた」











 嘘。


 忘れてなんかない


 言いたくないだけ。


 俺はもう、あの家の子供じゃない。




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作成日時:2013年9月6日 18時

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