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衝撃で言葉にならない。
そんな私を見て鼻で笑う。
「はぁ、優しいから今日は使わないであげる。俺弱ってる子につけこむほど鬼じゃないから」
今日何度目かの、呆れたようなため息。
そのまま、うみは私の腕を引き、ぎゅっと抱きしめる。
「でも、次呼んだときはそういうことって捉えるから。覚悟しといて」
「っちょっとうみ！」
「もう！我慢するんだから、これぐらい許してよ」
ぎゅっと頭を抱えられてそう言われるから、黙って受け入れてしまう。
海斗以外の男性にこんなに近づいたのは初めてで、ばかとかあほとか色々言われて、感情がぐちゃぐちゃ。
でも、うみの体温が温かくて、なんだか安心して。
じんわりと涙がにじんできた。
鼻をすすっていると、うわきたね！なんて。
「…怖かった」
「アハごめんごめん。やりすぎたね」
「うみのばか」
「はいはい、ごめんなさぁい」
ここまで反省してない謝り方ある？
そう言い返したいのに。
荒んだ心がゆっくりと溶かされていくのを感じるから、言い返す言葉も消えてなくなってしまう。
体を離した彼は、自分の指につけていたブランド物の指輪をとって渡してきた。
「うわちょっとぶかぶかかー」
「…？」
「いいからつけとけ」
金色の、女性が付けるにしてはごつごつしたデザイン。
そのまま立ち上がって、鞄をごそごそ。
取り出したのは香水の瓶。
彼が愛用しているらしいフレグランスのペアで女性用、らしい。
「まぁそんなことだろうと思ってさ、持ってきた」
「…？」
「だから…あぁ、もう説明すんのだるいから、今日からそれ絶対使うように」
「なんで？」
「マーキングに決まってんじゃん」
べーっと舌を出して馬鹿にした表情。
理解できそうでできない彼の行動に、自分の中で不思議な感情が芽生えていることに気が付いた。
海斗とは違う。
この人は、私の知らない世界を教えてくれるかもしれない。
「この話は終わり、で、こっちのほうだけど…」
うみはそう言って床に落ちた紙を取り上げる。
冷静になってくると、猛烈に今の状況が恥ずかしくなってきた。
「ごめん、そんなじっくり読まないで、はずかしい」
「F、C、G、Am…っは！よさそうじゃん」
笑われた後に、上から目線。
「明後日大学終わりうち来て」
「え？」
「いいから。じゃあその指輪返しに来てよ」
「…わかった」
うみと居る時の私は、別人みたい。
楽しそうに私が書き残したものを読み漁る。
その丸い後頭部を見つめていた。
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N11(プロフ) - maminaさん» 初めまして、コメントありがとうございます。揺らぎからですか！引き続き読んでくださっているようで、感謝しかありません。こちらの不手際でご迷惑をお掛けいたしました！公開しましたので是非ご覧ください。 (2021年3月7日 22時) (
レス) id: f61069127a (このIDを非表示/違反報告)
N11(プロフ) - あさん» 初めまして、コメントありがとうございます。こちらの不手際でご迷惑をお掛けいたしました！公開しましたので是非ご覧ください。 (2021年3月7日 22時) (レス) id: f61069127a (このIDを非表示/違反報告)
N11(プロフ) - キさん» 初めまして、コメントありがとうございます。泣きそうになりながらなんて…！とても嬉しいです。こちらの不手際でご迷惑をお掛けいたしました。公開しましたので是非ご覧ください。 (2021年3月7日 22時) (レス) id: f61069127a (このIDを非表示/違反報告)
mamina(プロフ) - 初めまして。揺らぎから大好きでLost&Foundも毎回楽しみに読んでました。#2に続いてまつくのダークサイドみれるのかと思ってドキドキです！宜しければパスワードを教えて頂きたいです。宜しくお願いします。 (2021年3月7日 21時) (レス) id: 9fd2043a8e (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初めまして！最近からLost & Found読ませていただいています！よろしかったら#2のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年3月7日 20時) (レス) id: 89732c56da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N11 | 作成日時：2021年2月12日 0時
