Lost & Found【橙】

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「どうしてこんな有様なの」
「海斗のことで…」
「あぁ」
「突然ごめんね」


来た途端、こんな話されてもたまったもんじゃないだろうな。


「昨日、ミカ先輩との曲聞かせてくれて」
「作ってたよね」
「…また失恋しちゃったぁ、ふふ」


海斗が相手じゃないと、こんなに素直に言えるのはどうしてだろう。


「で、Aは俺にどうしてほしいの、何で呼んだの」
「んー…」


なぜうみを呼んだのか。

無意識に海斗以外の人のぬくもりを求めているのか。



「じゃあ質問変える。俺に、助けて欲しい？」



こちらを見たうみの顔がいつになく真剣だ。

そんなの答えは一つに決まっている。


「助けて欲しいっちゃ欲しいけど…」


そういうと、急にふっと笑った。


「バカだねぇ」
「ば、ばか…？」


コンビニの袋をガサガサ。
取り出したのはスポーツドリンク、ゼリー、冷えピタ、風邪薬。

次々と出てくるから、なんだか申し訳なくなってきた。

後日ラーメン二杯ぐらい奢るやつだ、これ。


「Aがどういう意味で死んでるのか分からなかったからさ、色々買って来ちゃったんだけど」
「そんなに…というか本当にごめん真昼間から。何してたの？」
「ゲームしてたぁ、」


そう言いながら彼が最後に置いた小さな箱。

でかでかと0.03と書かれたパッケージに目を奪われる。

ワンテンポ遅れて理解し、固まる。


「こういう助け方もあるけど」


うみがその箱を手に取って、こちらに歩いてきた。

突然、心臓がどくどくと警鐘を鳴らす。

伸びた前髪の隙間から、とんでもない色気を放つ、その瞳。


「ちょっと待ってそんなつもりじゃなくて、」
「…。」
「、それに好きじゃない人とこんな…！」
「関係ねぇよ…そーゆー所がほんとアホ」


私の言葉を無視して、うみがベッドに上がる。

ぐっと濃くなる甘ったるくてスパイシーな香水に、髪をさらりと撫でて、今度は真剣な表情。



まずい、流される。



目をぎゅっと瞑ると、

次の瞬間。

降ってきたのはあの独特な笑い声。


その甲高い笑い声に、空気がふっと緩むのを感じた。


「ハァ〜〜！笑った笑った！」
「…。」
「バカでアホなAちゃんに教えてあげる」
「あほが増えてる…」
「おまえは他の男を知らなすぎ、家に呼ぶっていうのはこういうことだから」
「うん…わかってるけど、」
「ぜってーわかってねぇ。世の中、あんたの大好きなクラみたいな男ばっかだと思ったら大間違いだから」

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