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そうでないとするならば。
なにか別の理由が。
自分にとって都合が良さそうだから、近づいたとか。
そんなこと…ありえないけど。
淡々とギターのチューニングをしていた海斗が立ち上がる。
『あー。機材の最終確認行ってくるわ』
こちらに目を向けず、楽屋を後にした。
うみが顔を上げて、たった今閉まった扉を見た。
何かに気付いたような顔。
「カフェテリアで話した日…何で同じ服着たままだったんだ？」
「…？」
「いや。もしミカ先輩の家に泊まったとしてだよ？前日の服装、Aちゃんに知られてて、男物の服があるって状況なのに何でわざわざ同じの学校に着てくんだよ…おかしいだろ？」
「まぁ、たしかに…」
思い出したくもないあの日。
私はズタズタに引き裂かれるように苦しくて。
それを助けてくれたのは、他でもない、うみだった。
「Aちゃんがショック受けるって分かってんのに」
「…私のことはいいよ」
「良くねぇよ」
「もう…いいから」
「全然よくねぇし納得できねぇ…誰よりもクラがAちゃんのこと大切にしているはずなのに…なんで」
口を覆ったまま動かなくなった。
本番の時間が近い。
そろそろ客席に行かないと。
「…いやまてよ。むしろ逆か」
意味が分からなくて首を傾げた。
「大切にしてるから。だから傷つけたのか」
「ねぇ、うみ。そろそろ行かないと」
そう言って腕を掴んだけれど、まるで私なんてここに居ないみたいに。
こちらの方を見ようともしない。
「それに。Aちゃんのこと、誰よりも知ってるのはクラだよな」
そう自分に言い聞かせるように言葉を放ってから、
信じたくないとでも言うように。
絶望を湛えた瞳。
「じゃああの時も。運命とかじゃなくて…初めから分かっときながら、俺に聞かせて…今日も」
楽屋の外から「スタンバイしてくださーい」と大きく叫ぶ声。
「なぁ、クラ嘘だろ…」
うみの言葉の意味を理解したいけれど、
混乱する脳内が、バタバタと騒がしい足音にかき消されていく。
分かりそうで分からない。
でも知らない方が良いんじゃないかって、なんとなく、そう思ったり。
パッと視界が明るくなって、歓声が会場を包んだ。
本番が、始まる。
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N11(プロフ) - maminaさん» 初めまして、コメントありがとうございます。揺らぎからですか！引き続き読んでくださっているようで、感謝しかありません。こちらの不手際でご迷惑をお掛けいたしました！公開しましたので是非ご覧ください。 (2021年3月7日 22時) (
レス) id: f61069127a (このIDを非表示/違反報告)
N11(プロフ) - あさん» 初めまして、コメントありがとうございます。こちらの不手際でご迷惑をお掛けいたしました！公開しましたので是非ご覧ください。 (2021年3月7日 22時) (レス) id: f61069127a (このIDを非表示/違反報告)
N11(プロフ) - キさん» 初めまして、コメントありがとうございます。泣きそうになりながらなんて…！とても嬉しいです。こちらの不手際でご迷惑をお掛けいたしました。公開しましたので是非ご覧ください。 (2021年3月7日 22時) (レス) id: f61069127a (このIDを非表示/違反報告)
mamina(プロフ) - 初めまして。揺らぎから大好きでLost&Foundも毎回楽しみに読んでました。#2に続いてまつくのダークサイドみれるのかと思ってドキドキです！宜しければパスワードを教えて頂きたいです。宜しくお願いします。 (2021年3月7日 21時) (レス) id: 9fd2043a8e (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初めまして！最近からLost & Found読ませていただいています！よろしかったら#2のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年3月7日 20時) (レス) id: 89732c56da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N11 | 作成日時：2021年2月12日 0時
