【番外編】四月馬鹿は誰のもの？ ページ25
※季節・時系列を無視した番外編です※
//////
4月1日、エイプリルフール。
桜も見ごろな麗らかな春休みに俺はバイトに出ていた。
学生時代(今も学生といえば学生だが)、この日になると必ずはしゃいで嘘をつくクラスメートが一人はいたことを思い出す。
…そういえば同窓会の連絡があったようななかったような。
元の世界ではどれくらいの日数が経っているのか、それとも意識を失っている夢の中の出来事なのか俺には計り知れない。どうやって戻っていいのかすら解らないから今現実として成立しているこの世界で生きるしかないのだ。
「おはようございまーす」
「おー」
今日のシフトは翔瑠と俺、それから同じく春休み中のバイト仲間数人だった。
エイプリルフールということで少々変な店長は「四月馬鹿キャンペーン」なるものを思いついたらしい。4月1日の営業時間中、キャンペーンに参加する旨を伝えて店員がついた嘘が本当に嘘なのかを見破れた女性客にはクーポンをプレゼントという内容で、これがSNSを通じてちょっとした“バズり”を起こしたらしく朝から店内は若い女子たちで混雑していた。
「あのぉ、キャンペーンに参加したいんですけど…」
「ああ、はい。いいですよ。お先にご注文をどうぞ」
「はぁい、えっとー、ストロベリーパフェとジンジャーレモネードで」
「かしこまりました。…ところでお客様、〇〇高校の生徒さんですよね？」
「そうですけど…なんで知ってるんですか？」
「お客様が何度か制服でいらしてたので、覚えちゃいました」
「えー、やばいやばいやばい、覚えられちゃった！記憶力いいんですねー！」
「人の顔と名前を覚えるのが特技なんです。それはそうと、〇〇高校って今日は生徒一斉登校日じゃありませんでしたっけ？」
「え〜、うそぉ〜、あ、解った。嘘でしょそれ」
「いえ、今朝見ましたよ。同じ制服の方」
「えっマジで！？ヤバい！」
「嘘です(笑)」
「…キャーー！やだぁ、やばぁい！騙されたー！」
やたらとヤバい、を繰り返す今時の若い女の子らしい女生徒にトレイに載せたドリンクと整理番号をす、と差し出して目線の低い彼女に静かに微笑んでみせる。
「騙してしまって申し訳ありません。これ、クーポンです。良いエイプリルフールを」
解りやすく頬を緩ませた彼女がトレイを受け取ってきゃあきゃあと友人らの待つ席に向かう後姿を見送ると、翔瑠が「よくやるよな」と呆れた顔を見せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はす(プロフ) - 外見至上主義好きで検索したらこんなにも面白いのが見つかるとは思いませんでした！！最高です、腐ってるので尚更好きです、ありがとうございます！！！ (2020年3月29日 14時) (
レス) id: ea36bea7ab (このIDを非表示/違反報告)
レイ - めっちゃ好みです！更新待ってます！ (2019年4月24日 2時) (レス) id: 3b97929db8 (このIDを非表示/違反報告)
月弥(プロフ) - とても面白いです！！外見至上主義大好きなんです！！ちなみに腐ってるので最高です！！ (2017年12月10日 11時) (レス) id: d5d31cb4b5 (このIDを非表示/違反報告)
ニルヴァーナ(プロフ) - ついたままでしたね。ご指摘ありがとうございます！ (2017年8月23日 10時) (レス) id: ad95aab6ae (このIDを非表示/違反報告)
みく@企画垢(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいね (2017年8月23日 9時) (レス) id: e89ce37d74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涅槃 | 作成日時：2017年8月16日 16時
