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「…いい度胸してるな、お前」
「うっ」
無事だと解ってすぐに身体を離したものの、もう手遅れだったらしい。
背後から聞き覚えのある静かな声がして、俺は恐々と振り返った。
「どうも、こんばんはー…」
「ちょっと譲さん！今見てたでしょ、私がぶつかっちゃったの！」
「解ってる。ジョークだ」
そこにいたのは相変わらず値の張りそうなスーツを細身に纏った譲だった。
不穏な空気を察して明里さんが慌ててフォローに入るが、流石に触れようとして触れたことではないことは見ていて解っていたらしく、俺はほっと胸を撫で下ろした。
あの時蛍介越しにも関わらず受けた蹴りが痛かったからあんな怖い目には二度と遭いたくなかったのだ。
彼が話すとジョークもジョークに聞こえないから本当に物騒だ。
ぶつかった拍子にまたしても地面に落ちた可哀想なスマホを拾い上げると明里さんが車に乗り込むところだった。
「用が済んだら行くぞ」
「はいはい、解ったわよもう…。本当にごめんなさい。助けてくれてありがとう」
「いえ、お気になさらず。お気をつけてくださいね、明里さん」
「え？」
バーテンとしての癖が抜けず覚えた名前を口にすると、俺たちの間に流れた束の間の穏やかな(？)雰囲気が急速に変わっていくのを肌で感じた。…しまった。つい職業病でやってしまった。
「なぜ名前を知っている」
「…あーすみません、学園祭の時にそちらの…譲さんが呼ぶのを聞いたので、つい」
「記憶力がいいのね。びっくりしちゃった」
「ええ、まあ…」
「名前」
「え？」
「お前の名前を教えろ」
「AAです」
「覚えておこう。…次はコイツに触れるなよ」
じゃあね、と手を振る明里さんに小さく頭を下げて真っ赤な高級車で立ち去る二人を見送る。
危ない橋はできるだけ渡りたくないし、そもそも俺は平和主義者なので危ない事件にも巻き込まれたくないからあの二人とはもう本当にこれっきりにしたい。
出かかった溜息を飲み込んでスマホをつけてみると見事にショップの営業時間には間に合いそうになく、今度こそ俺は盛大に溜息を漏らした。
スマホを修理できるのはまた今度になってしまった。
画面を見たタイミングで偶然通知があった。
学園祭の一件で連絡先を交換した蛍介からだった。
＜明日、学校終わったら流星たちと一緒に道也の家に行かない？＞
俺の知ってる流星といえば、蛍介の隣に座っている北原流星くんしかいない。
確かにあの2人はよくツルんでるところを見る気がする。
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はす(プロフ) - 外見至上主義好きで検索したらこんなにも面白いのが見つかるとは思いませんでした！！最高です、腐ってるので尚更好きです、ありがとうございます！！！ (2020年3月29日 14時) (
レス) id: ea36bea7ab (このIDを非表示/違反報告)
レイ - めっちゃ好みです！更新待ってます！ (2019年4月24日 2時) (レス) id: 3b97929db8 (このIDを非表示/違反報告)
月弥(プロフ) - とても面白いです！！外見至上主義大好きなんです！！ちなみに腐ってるので最高です！！ (2017年12月10日 11時) (レス) id: d5d31cb4b5 (このIDを非表示/違反報告)
ニルヴァーナ(プロフ) - ついたままでしたね。ご指摘ありがとうございます！ (2017年8月23日 10時) (レス) id: ad95aab6ae (このIDを非表示/違反報告)
みく@企画垢(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいね (2017年8月23日 9時) (レス) id: e89ce37d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涅槃 | 作成日時：2017年8月16日 16時
