割れたスマホにご用心 ページ22
学園祭が終わると才源高校にも日常が戻ってきた。
俺も徐々に高校生活に慣れてきて、クラスメートと話す回数も増えてきた。
家に帰る度にあの女性客がハマっているという漫画についてスマホで検索もかけてみたが情報は一切出てこなかった。
イケメンも出るし、暴力的なシーンも多分に含まれる…ということしか知らない俺にとって物語のあらすじは平穏に過ごす上でかなり重要なのに、いくら思い出そうとしても思考に靄がかかったようにタイトルさえ記憶の引き出しから取り出すことができない。
そうして元の世界に戻る方法は解らず仕舞いのまま、バイト先で初めての給料日を迎えた。
「はい、これ今月分ね。A君はよく働いてくれるから助かるよ」
「ありがとうございます、店長」
今時珍しい現金手渡しでの支給。
学費と生活費のためにシフトをいれまくったおかげでなんとか生活できそうなぐらいの額面が入っていてほっとした。
これでやっと割れたスマホを修理しにいける。
修理代は痛いが、このスマホが命綱のひとつだから壊れては困る。
直しに行かなくてはなるまい。
「ところでA君、一人暮らしでお金が要るっていってたよね？」
「ええ、まあ」
「ちょっとお願いがあるんだけど…」
お疲れさまでした、とバックヤードを出ようとする俺にやたらと眩しい笑顔を向ける店長。
もしかしてシフトを増やしてもらえるのか？と期待して身体ごと振り返った俺に、店長は声を潜めて“お願い”の内容を告げた。
「……それ、バレたらマズいやつですよね？」
「3時間！3時間でいいから！ねっ？」
「うーん…」
「A君さ、身長も高いしなんか妙に色っぽいって女性客に好評なんだよ〜。時給弾むし何かあったら庇うから！」
「うーん…弾む、だけじゃちょっと…」
「2倍！」
「よしきた。知り合いが来たら隠してくださいね」
店長と握手を交わし、取引を成立させる。
念のため契約書を作ってもらうことにし、漸く店長に解放された俺はスマホを修理すべくショップに向かう。
時刻は18時半を過ぎようとしており、営業時間が閉まる前に行っておこうと急ぎ足でコンビニの前を通り過ぎた時、ちょうど入口から飛び出してきた誰かとぶつかってしまった。
「きゃあ！」
「っと」
女性の声だった。
アスファルトにハイヒールが擦れる音が聞こえると同時に前のめりに転びそうになった彼女に思わず手を差し伸べて抱き留める。ほっとしたように顔をあげた彼女を認識した瞬間、俺の本能が警告音を鳴らした。
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はす(プロフ) - 外見至上主義好きで検索したらこんなにも面白いのが見つかるとは思いませんでした！！最高です、腐ってるので尚更好きです、ありがとうございます！！！ (2020年3月29日 14時) (
レス) id: ea36bea7ab (このIDを非表示/違反報告)
レイ - めっちゃ好みです！更新待ってます！ (2019年4月24日 2時) (レス) id: 3b97929db8 (このIDを非表示/違反報告)
月弥(プロフ) - とても面白いです！！外見至上主義大好きなんです！！ちなみに腐ってるので最高です！！ (2017年12月10日 11時) (レス) id: d5d31cb4b5 (このIDを非表示/違反報告)
ニルヴァーナ(プロフ) - ついたままでしたね。ご指摘ありがとうございます！ (2017年8月23日 10時) (レス) id: ad95aab6ae (このIDを非表示/違反報告)
みく@企画垢(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいね (2017年8月23日 9時) (レス) id: e89ce37d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涅槃 | 作成日時：2017年8月16日 16時
