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いやいやいやいやいや。
おかしい、ありえない。
全身鏡にはしっかりと俺の姿が映し出されている。
……ただし、今よりもずっと若い姿で。
「いやいやいや…」
ついに声に出して突っ込んでしまったのも無理はないだろう。
夢でも見ているのか、それとも幻覚か。
頭を打っておかしくなってしまったのか。
鏡の中の男はアルバムでみた高校時代の俺にそっくりだ。
違うところといえば、あの頃より背が少し高いことと、どことなく筋肉がついていること、それから髪型が今の俺と変わらない、セミロングだというところか。
ほんとうに夢でも見ているようだ。
そういえば着ているパジャマも俺のものではない。
「どうなってんだ…」
怖い。早くこの訳のワカラナイ出来事を誰かと共有したい。
だが部屋を出た俺に待っていたのは生活の気配のない深い静寂だった。
「すみませーん…、どなたかいらっしゃいますか…」
職業病か、ついつい穏やかな愛想の良い声が出てしまう。
それから寝室、トイレ、浴室、リビング、玄関と順繰りにノックをし、同じように声をかけたが、結局自分の他に誰一人として人間の気配を感じることはできなかった。
ホラー体験？新種の三途の川？
しかし、理解ができない出来事はこれだけではなく、
「……うそぉ…」
もう一度助けを求めて戻った最初の部屋。
机の上の教科書の一番上に置かれた学生証を覗き込むと、そこにははっきりと
【AA】
俺の名前と、若い俺の写真が刻まれていた。
どうやらこの身体の俺はまだ16歳で「才源高校」という学校の生徒になっているらしい。
「パラレルワールド、ってこと？」
バーテンダーは夜ごと様々な話を客から聞かされる。
オカルト好きな女性客から「そういう」話を聞かされたことはあったものの、大体はアルコールに混じって消えていく軽い都市伝説ばかりで心から信じられるようなものはなかったのに。
「…うーん。若い」
鏡を見るとやっぱりそこには少年の姿をした自分が映るばかりで。
夢か現か、驚きすぎて逆に落ち着いてきた俺は持ち前の好奇心が鎌首を擡げるのを感じていた。
「…行ってみるか、学校」
どうせ夢なら、楽しいほうがいいだろう。
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はす(プロフ) - 外見至上主義好きで検索したらこんなにも面白いのが見つかるとは思いませんでした！！最高です、腐ってるので尚更好きです、ありがとうございます！！！ (2020年3月29日 14時) (
レス) id: ea36bea7ab (このIDを非表示/違反報告)
レイ - めっちゃ好みです！更新待ってます！ (2019年4月24日 2時) (レス) id: 3b97929db8 (このIDを非表示/違反報告)
月弥(プロフ) - とても面白いです！！外見至上主義大好きなんです！！ちなみに腐ってるので最高です！！ (2017年12月10日 11時) (レス) id: d5d31cb4b5 (このIDを非表示/違反報告)
ニルヴァーナ(プロフ) - ついたままでしたね。ご指摘ありがとうございます！ (2017年8月23日 10時) (レス) id: ad95aab6ae (このIDを非表示/違反報告)
みく@企画垢(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいね (2017年8月23日 9時) (レス) id: e89ce37d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涅槃 | 作成日時：2017年8月16日 16時
