検索窓
今日:6 hit、昨日:8 hit、合計:7,004 hit

ページ4

「さがしものですか…ってこら!太一!」



「あー!このヒトが言ってた翔一のカノジョ?」



「バッ…!や、やめろよ!そんなんじゃないって…。」





ごめんなさいね、いつもと同じ楽しげな声で言った彼。


そんな彼の後ろからひょっこりと顔を出しているのは、10歳くらいの男の子。


コラ、謝れ!と翔一さんが彼の頭を叩いた。


なんだか悪くて、口を開いた。




「あ、えっと…太一くん、だよね?
翔一さんの“おともだち”の、なおです。

ごめんね、カノジョじゃなくて」



「うん、知ってるよ。なおさん。

毎日毎日しょーいちがあなたの話するから。」




「おっ、お、おいおいおい太一?」



「嘘じゃないだろ」



またぽかぽかとケンカをする2人は、まるで兄弟みたいで。




私だってあなたの話、いつも聞くよ

そう言おうと思ったけど、やめた。彼が毎回太一くんの話をする理由はわかりきっていたから。




だって、こんなに仲良し。






「…太一くん、翔一さんみたいなお兄さんがいて幸せ者だね」



「よしてよ、こんなヘナチョコの兄ちゃんなんてやだよ!

トランプ弱いし、オセロ弱いし…」




「あはは!翔一さん、ほんと、トランプ弱そう」





ふたりで笑う。当の本人は、面白くなさそうだけど。






あたりはすっかり秋で、雲はちぎれちぎれのウロコ。





「でも優しいじゃない?お料理上手だし。」


「優しくて料理上手なのはお母さんだけでいいよ」


「あのなあ、だから俺が母さんの代わりになってやってるんだろ?」



ふたりの話が少しデリケートな話題になって、私はちょっと黙ってしまう。

それを見て、彼らも黙る。




「あ…、えと、ごめんなさい」





私の言葉は、彼らには聞き慣れたものらしく、太一くんは少しため息をついた。




「いんだよ。こっちこそ、ごめん」


「ううん、私こそ」




翔一さんは、俯いたあと、また庭のホースを手に取った。




「世の中誰かの穴埋めでできてるんですよ。綺麗に言えば助け合い。


だからいいんですよ。みんながみんなのために生きてるんです。」





また、彼がニコッと眩しい笑顔を見せた。

この考えは、彼が新たに知ったものなのだろうか。それとも、彼の基盤にあることなのだろうか。





わからない。だけど、たしかに彼は、「津上翔一」として、誰かのために生きてる。

5→←3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

そーちゃん - アギトにハマり、これを一気見しちゃいました!泣けるところもあれば、笑えるところもあったので、すごくいい作品だと思いました!頑張ってください! (2021年8月26日 0時) (レス) id: cf2ff24390 (このIDを非表示/違反報告)
カヲル - 今一気に読み終わりました。泣きましたよー!!連投失礼します。一日で書いたとか信じられない速筆ですね!!!続きと、よろしかったら北條さんの夢小説を・・・(くどい(笑)) 素敵さなく貧有難うございますvvvv、 (2019年10月8日 16時) (レス) id: 307ac8236c (このIDを非表示/違反報告)
カヲル - 長くなり一通に入りきりませんでしたので続きです(汗) 翔一君も好きですが 北條さんも大好きなので 北條さんのもかいていただけましたら物凄く嬉しいです (2019年10月8日 16時) (レス) id: 307ac8236c (このIDを非表示/違反報告)
カヲル - アギトを最近見てはまりました。私は文才がなく、人様が書いてくださったものを楽しませて頂くよりない人間ですが、夢小説が大好きなのに、20年近くも前の 人気作品のはずの仮面ライダーアギトの夢小説が全くみつからなくて困っておりました。有難うございます。 (2019年10月8日 16時) (レス) id: 307ac8236c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひのもと | 作成日時:2019年5月5日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。