Lonely Only Girl 2

70 . 罅 ページ21

．





車を車庫に入れるからと
私は駐車場で降ろされ、


先に部屋に戻った









．









私が数日間空けている間に
少し散らかっていた









．









無造作に放り投げられたスウェットを
拾い上げると、


ふわりと紫耀くんの香水が香って
頭がクラクラする









．









後ろから玄関のドアが開く音がして


咄嗟にスウェットを後ろで隠してしまった









．









紫耀くんの元気なただいまの声が聞こえなくて


普段通りにおかえりを返そうと思っていた私は
何も言えなかった









．









だけど、


このままなんて絶対に嫌だから


勇気を出して声を出した









．









「何食べたい？」

「久しぶりに腕振るっちゃおうかな！」

「あ、ぬれおかきはダメだよ」

「作り方知らないからね」









．









普段はあまり喋らない方なのに、


今日は口が勝手に動いて
ベラベラと余計なことを言ってしまう









．









紫「今日は…」

紫「出前でも取ろっか」









．









私の料理が食べたい









と言ってくれたのが嬉しくて、


研修中もずっと何を作ろうか考えていたことを
紫耀くんは知らない









だから、


別に傷ついたりなんかしてない









…してない









．









「…そうだね」

「紫耀くんが食べたいのにしよう」

「ごめん…気、使えなくて」

「疲れてるのにごめん」









．









紫「Aちゃん…」









．









「出前…ッ！」









「…何にしよっか」









．









近づいてくる紫耀くんを
拒否するように避けた









．









その瞬間に
やるせない胸の嘆きに襲われた





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