【Q.K】とあるコンビは超！気に入らないようで (ページ9)

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7.学びを楽しむ証拠ページ9

終了後、楽屋で帰り支度をし終えてスマホで色んなことを検索していた。

[見よ、ここにディオファントスの一生の記録がある。
そのうち一生の6分の1は青年であった。その後一生の12分の1よりのちにヒゲを生やした。さらに7分の1後に結婚した。4年後には子供を持ったが、その子供はディオファントスの一生の半分しか生きられなかった。その5年後に彼は死んだ。]

「彼は幾つ迄生きたか。か…」
墓に彫ってあるらしい。凄い。

感慨深い、という感覚が私の中に残る。
「算術、ディオファントス方程式。ふーん…」と、どんどんのめり込んでいった。
するとドアのノック音が聞こえて、なんとなく返事をした時。

「あ、まだいらっしゃった。何してるんです？」
かちゃりと開いたドアから顔を出したのは、かの伊沢拓司だった。

「うわぁっ、ああ、伊沢さん。」あまりに驚き、情景反射でのけぞると

「ディオファントスの墓の話ですか？」とこちらに来ては覗き見て言った。

「えぇ、まあ。私自身知ることは楽しくて、だから好きなんですよ。こういうの。」
疑問に対して首を縦に振り、伊沢さんを見た。どうやらこの調子だと伊沢さんは話に付き合ってくれるようだった。
やっばい、本物…。
目を見て話す、コミュニケーションでは大事だけど厳しいかもしれない。

「色んなこと関連づけて深堀りしていくのってのも面白いとは思いませんか？私はいつもそうしちゃうんですけど」

「分かります」

「知識の前触れみたいな。一般に言う予習です。ガッツリやるより私は触れるだけ触れて、『お、いいな』なんて思ったものを深堀りしてるだけですけど。」と苦笑する。

「興味の無いものは本当に避けてしまいますからね…」

「そうなんです～。趣味の見つけ方に少し似ているかもしれませんね。」

「それは学ぶこと自体を楽しめている証拠だと、僕は思いますよ。」

「そうですねぇ。学びを自身の力に生かせていれば良いのですが。」

「そうだ、今日の収録楽しかったです。…うん、今日だけでもう十分役に立っていると分かる気がしますけど。」と優しい笑みを浮かべる伊沢さんが珍しくて、少し戸惑った。

「…あ、いえいえ、こちらこそ。
また一緒になれば、話しましょう。」

「入るね！」張った声を聞いて、
二人同時に伊澤ちゃんの名前を叫んだ。

「伊澤ちゃん？聞いてただろ」と聞けば

「ん？聞いてないよ」と返す。

聞いてただろうな。

「二人、知り合い？」
少々事の経緯を話すのは面倒だったが、全て話した。

「んじゃ、またどこかで会うかもね。」
私のLINE友だちに一人、増えた。