写真 ページ9
Aに引かれ辿り着いた部屋は想像していたよりも質素で
女性の部屋とは思えないほどスッキリとしていた
｢そこのソファにでも掛けててください｣
上着を預かったAは手際よくハンガーにかけ壁にかけた
｢珈琲でいいですか？｣
｢あ、あぁ…｣
キッチンへと向かう背中を目で追いそのまま部屋中を見渡した
見渡していくと殺風景な部屋に似合わず1箇所に多くの写真が飾られているのに気付いた
そこへ近づき一枚の写真を手に取る
｢これは…？｣
｢あー、それは空手の大会の時の写真ですね｣
そこには今よりも長い髪をひとつに結び柔道着を着てトロフィーを持つAの姿があった
｢髪…長かったんだな
(俺は…一度会ったことがある…でも、いつ…？)｣
｢えぇ、まぁ…｣
｢長い方が似合っているな｣
｢こっちの方がウィッグ被る時に勝手がいいんですよ｣と今までつけていたウィッグを外す
｢何か思い出しました？｣
｢あぁ、まだハッキリとはいかんが…｣
｢ヒントではないですがさっきのハニトラに引っかからなかった訳なら教えてあげますよ｣
降谷は｢え？｣とAへ振り向く
そんな降谷の手から写真を取り上げ
｢あくまで憧れだからです
それは恋にはならない｣
｢絶対…か？｣
｢降谷さんが私の事を思い出して、私に惹かれる事があれば可能性はゼロではありません｣
｢お前の気持ちは入らないのか…？｣
｢1度憧れとして見てしまったら多分恋をしてもずっと憧れだからと自分に言い聞かせてしまいますから｣
そう放ちながら遠くを見た
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作者名：のあ | 作成日時：2018年9月8日 1時
