ヒーロー ページ14
はらりと落ちる目隠しはAの視界を隠すことを辞め、ただの布切れとなった
露わになったAの瞳はとても怯え、警察官としても任務がなくても「助けたい」と思わされるような表情をしてた
「ぁ…た、すけ…て…」
小さく呟かれた声に目が離せなくなる
Aをとらえていた男は現状に焦りナイフを持つ手に力が入る
暫く無言の攻防戦が続くと、耐え切れなくなった男が繋いでいた手すりからAを放し降谷に向かって突き飛ばした
「ーーーッ?!」
「キャッーーー」
Aを受け止めるが、逃げきれないと思った男はナイフを掲げ2人に襲いかかった
「し、死ねぇぇぇぇぇぇえ!!」
Aは恐怖の余り目を瞑る
しかし痛みは一向に来ることなく、先程まで叫んでいた男のうめき声がただただ倉庫内に響いた
少女は恐る恐る目を開けるとそこには地面に倒された男に降谷が馬乗りになり手錠を掛けようとしている所であった
「ぃ…痛てぇ…」
「銃刀法違反、婦女暴行、公務執行妨害…18:24現行犯逮捕だ」
それと同時に外が騒がしくなり複数人の警察官が駆けつけた
「降谷!よくやった!」
先輩の警察官と思われる中年の警察官が降谷へ駆け寄る
「すいません、応援が来るまで待てませんでした…」
「いや、いいんだ、よくやってれたな」
先輩警察官に肩を叩かれた
そして思い出したかのようにAを探すがもう既に連れられたのか現場からは姿を消していた
一方Aはと言うとその後、他の女性警察官に連れられパトカーで簡単に事情を聞かれていたが警察官といえど先程の恐怖が抜けず見る人全てに対して恐怖心を抱いていた
「困ったわね…」
名前や連絡先は生徒手帳でわかったもののその他の事情が分からぬまま困り果てていた
「どうかしたんですか?」
そこに周囲から事情を聞いて降谷が駆けつけた
「話しかけても怯えて答えてもらえなくて…」
「自分がやってみます」
怯えるAに近寄り目線が合うように屈む
「怪我はありませんでしたか?」
その声にハッと顔を上げ2人の視線が交じり合う
Aは声は発さないものの小さく頷き怪我がないことを訴える
「間に合ってよかったです…」
そう笑いかけられた
その日からAの中で降谷はヒーローで憧れだった
…
……
…………
「そうか…思い出したよ…」
「やっとですか、遅すぎます
自分が助けた相手くらい覚えてましょうよ」
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作者名:のあ | 作成日時:2018年9月8日 1時