【雨宮志乃】フロランタンで始まる初日�� ページ43
こほんと咳払いから改めて開始される面接。
「雨宮志乃くん、出身日本の魔術師。使用魔術は精神遠隔術…所謂声フェロモンの持ち主。に加え、炎系統の魔術を使用…魔術師としての情報はこれで間違いない？」
「ええ、間違いないです」
「ふむ、じゃあ次に得意なことと苦手なことを聞いてもいいかな」
眼鏡をかけ直し、打って変わったかのように落ち着きを取り戻すレオン。
そんな彼は、やはり一流の魔術師なのかもしれない。
「得意なことは、実況に歌、弓道に楽器。苦手なことは肉弾戦です」
「じゃあ、苦手なことについてはどう克服しようと考えてる？」
「うんむぅ、そうですね。僕は今まで努力については怠っているつもりはないんです…つまり、苦手なことはどうあがいてもこの先、苦手なまま。克服は無理かと」
「だがこの先、危険が伴うことは承知の上だよね」
「はい。ですが、なんでもできなければならないというルールもない。ゲームメイクは僕の得意分野だから。策を持って、制すこととします。いかがでしょう？」
と首をかしげにやりと笑ってみせる様にまさに不敵というべきか。
そんな彼の世界ランカーとしてのプライドをみた"ファン"が撃ち抜かれないはずもなく…。
「さすが、"shinon"だ。OK、合格だ。これからよろしく頼むよ。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。素敵な所長さん」
ウィンクをしてみせれば瞬間的によろける彼についいたずら心が芽生えてしまう。
「全く。私のマスターもマスターだが、君も君でもう少しだな」
と孔明にお小言をいただきながらも召喚室へ。
これはこれからの僕の将来にむけての運試しと言ったところか。
召喚の方法をふたりから習い、きらりと光る如何にもファンタジー系でみそうなそれを３つ程投げ込めば、立ち込める僕の魔力と共に"彼"は姿を現す。
「クー・フーリン。召喚に応じ参上した。……俺の色がお前に関係あるのか？」
「くわぁ。なんだぁ？そうか、召喚に応じちまったわけ……か？って、はっ？！お前は俺じゃねぇか！……待て、俺がお前で、お前が俺で…どうなってやがる…しかも、おい、なんだよ、このちっこい俺の体はよぉ！」
「………。」
どう考えてもバーサーカークラスのサーヴァントとしゃべる小さなぬいぐるみ。
「それで僕はなにを見せられてるのかな。茶番は終わったの？」
それとも召喚ってこういうのが普通なのかな。
どう見ても分離されて召喚されてるんだけど。
(終わりです)
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