【ルイス・スタインフェルド】Ａチーム�� ページ31
所長からレイシフトという単語に、早々の任務に少し驚いたが俺達がどれだけ動けるかの確認をするためだろう。
だがそれよりも。
「Ms.千景。今回はよろしくお願いいたしますね」
「！ えっと、ルイスさんでしたっけ？ よろしくお願いいたします！」
にこにこと素敵な笑顔を見せてくれているMs.千景に、いつもの言葉を問いかけようとしたところ袖が引っ張られた。
「お兄さま、レイシフトの打ち合わせはしなくていいのですか？」
不思議そうな表情をするエリザベスにお礼を言って、Ms.千景…椿さんと共に順番がくるまで各々の得意分野を話した。
どうやら椿さんは電撃系の魔術を得意とするらしい、ただ加減ができないと聞く。
「だから私が攻撃するときは出来るだけ遠くにいてください」
と、アルトリアと仲良くなったのか髪型をシニヨンをアレンジしたようなヘアスタイルにしていて実に似合っている。
「懐かしいねその髪型、武者修行の時を思い出すよ」
「…ツバキ、きつくありませんか？」
彼女のサーヴァントである魔術師マーリンがアルトリアに声をかけていたのだが見事に無視。
仲が悪いのだろうか？
目が合った椿さんとお互い小首を傾げたのである。
暫くはチームで談笑をしていたのだがＣチームのMs.スタンリーが倒れたらしい。
大丈夫だと所長は言うが心配は心配だ。
所長とMr.神楽坂のチームが無事に終わり、Ａチームの、俺達の番となる。
コフィンの前まで来てくれたエリザベスの目線に合うように屈むと心配げな表情を見せるので、肩に手を置く。
「お兄さま、怪我しないでくださいね」
「あぁ、もちろん。レオンさんも親睦を深めるためといっていたから怪我するまではないはずだ。帰りを待っていてくれるかな？」
大きく頷いてくれたエリザベスに、頭を撫でてからコフィンの中へと入った。
係員の音声と共に目の前に広がった青い光のあとの白い光。
眩しく、一瞬目を閉じた。
さらりと頬を撫でる風の感覚に目を開けると、視界に入ったのは一本の道と草原と古びた城壁だった。
「わぁ…！ 西洋のお城なんて初めて見ました！！」
後方で椿さんのはしゃぐ声が聞こえたので振り返るとどうやら無事に椿さんもレイシフトされたらしい。
子供のように目を輝かせていて、大変微笑ましい。
「お城といったらお姫さまですよねー。いいなぁ、私もそんな格好してみたい」
「…お出ししましょうか？」
「え？」
にこりと笑う。
ドレスの一着などお手の物だ。
(続きます)
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