【レオン・キャンベル】Cチーム�� ページ28
エマをありすとノアに任せれば、去る間際眠っているはずの彼女に耳を引っ張られ囁かれた。
「人を試すというとは、貴方も試されるということ…精々頑張れば？」
…本当にかわいげがない。と内心溜息をこぼせば彼女を背負っていたエルキドゥには聴こえてたんだろうね。肩を震わせて笑うのを耐えていたような気がする。
でも、エマのいうことは最もだ。
注目されるのは俺も同様だ。
とはいっても、まぁ力んでも仕方ないし。できることをして帰ってくるか。
そーちゃんもいるわけだし、攻撃面でも不安はない。"お母さん"もいるわけだし。
……というわけで、レイシフトしたわけだけど広がる草原地帯に見たところ見当たらない"対象物"。
突如耳に入る叫び声のような呻き声の方角を視れば規格外のサイズのそれが全速力で駆け抜けてくる。
「うわ…デカすぎ」
でもまあ、HPが高いだけで残りの保有スキルは変わらないはず。
ならやることは変わらないな。
眼鏡をかけ直し、向き直れば"視た"結果を伝える。
少し驚いてるようだけど、思ったより落ち着いてるそーちゃんに小さく微笑めば作戦を伝え、動き出す俺たち。
「さあ、ロード。俺たちは彼らの足を引っ張らない程度に防御を張りつつ援護をしなくちゃいけない。どう攻略してく？俺の魔術は"水魔法"だが」
「レオン…貴様、とうに考えついている癖にその上で私に質問を投げかけているな？」
適度に攻撃をかわし、いなし会話を続ける。
時折、視界に入る薙刀捌きを目にすればこれが極東の武道か…と魅入ってしまう。
それにしても、見事。
「話しを聞いていまいな？その顔は」
「聞いてるって。んで、どーする？」
と、首を傾げれば溜息をつき再び俺をみるロード。
「そうだな。"私"は戦えない。言わずもがなサポートでしか立ち回れない。だが…レオン、貴様は違うな？その魔術…水に決まった形状はない。つまりそれは器次第でどんな形にもなりえる…はぁ、要するにだ、攻撃に回れ。私のことは気にかけなくていい」
口元が緩む。
そんな俺を見て疲労を滲ませるロードだけど、頼ってくれるということはある程度の信頼があるということ。
まずは上々…というところか。
「了解。ありがと、ロード。俺も君の力を信じてるよ…！」
拝むように手を合わせ瞼を閉じれば、具体的なイメージを思い浮かべる。
これが俺の魔術の原点。
彼を守ることができるよう…その信頼に応えようか。
(続きます)
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