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唐突に怒りをぶつけられた青斗は、霊にその機嫌の悪さを指摘した。

「感情は音に出やすいから」と教えてくれたのは霊だった。だから自分で自分の言ったことが返ってきてしまったことに気づいた霊は、謝るどころかさらに怒りを爆発させてしまった。
彼のプライドを傷つけまいと考慮して黙っていたのに、怒りに任せそれを口にしてしまった青斗はとても後悔した。

しばし言い合いを続け、気づいたときには互いが普段思ってもいないような事まで口走ってしまっており…


「そのままみどり、スタジオ飛び出してった。でも俺も腹立ってたからすぐ連絡とかできなくて。
それにあいつ、俺らからの連絡未読無視してくるから…もちろんまだ謝ってない。」

「ほんで最後に俺に、『もうお前らとバンドは続けないから、勝手にしろ』って来てんねん。
なあ、Aもあいつに連絡してみてくれへん?Aやったら、あいつ拗ねとっても返事返ってきそうやん」


きっとその日は青斗も霊も、八つ当たって喧嘩をしてしまうほど傷心に耐えなかったのだろう。
そうでなければ、あの霊が突然青斗に怒鳴るなどという異様な言動はまずしない。

Aは話を聞くとすぐに、慌てた様子で自身のスマートフォンを取り出した。メッセージアプリをひらき、彼とのチャット欄をタップする。
しかしAは霊にメッセージを送るでなく、通話の応答を願った。


「電話は流石にでぇへんのとちゃうんか」

『…かけてみなきゃわかんないよ』


しばしの沈黙。どこか複雑そうな表情で黙って見守る青斗は、掌に滲んだ汗を拭った。

すると、Aの耳に当てた端末が反応をみせる。


「…なにA」

『み、みどりくん!』


半ば諦めていたその声の応答に、思わず大きな声が出る。しかし、なかなか次の言葉を出せない。
なにか言わなくては。自分から電話をかけておいて押し黙ってしまったことを、情けなく思った。

その妙な間を不審に思ったのだろう。霊の方から声がかかる。


「もしかして、運営のこと?それならさぁらだおくんに伝言頼むわ。
…もう俺は【運営】のギターを弾かない。二度とお前と音楽はやらない、って伝えて」

『えっ……』


その伝言は、あまりにも哀感を感じさせるものだった。
霊は続ける。


「なんなら今度のライブ、臨時でAがでれば?俺の代理ぐらい務まるでしょ」

『な…なんで……』


そのあまりにも無責任な言葉に、Aはこうして彼に電話をかけたことを悔やんだ。
いつもの彼からは到底でないような、どこか他人事なセリフ。

「それじゃ」と一方的に通話が途切れたあと、絶望の念に駆られてその場に立ち尽くした。

1-2)臨時ギタリストの本気。→←:



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作品ジャンル:恋愛
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時

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