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手のひらの水滴を適当に払い、何事もなかったかのように私の隣へと腰を下ろしたのはみどりくんだった。
「こんなとこで寝たら風邪引いちゃうよ」
風邪を引くからだと言うが、彼は水をかけた私に拭くものひとつも寄越さない。本当にその理由で私を起こしたのだろうか。
こんな暑い中長袖の体操服に身を包み自身のスマートフォンを操作する。首に下げるヘッドフォンを見る限り、彼は始めから行事に参加する気などないらしい。
「俺毎年、ここで行事ザボってるんだよね」
とはいえ、偶然にも出会った彼は最近のいざこざをまるでなかったことのように、今まで通り話しかけてくる。距離感も話し方も全部、いつも通りだ。
「まさかAに場所バレるなんてなぁ」
未だ声も出せずに唖然とする私に見向きもせず、ただ一方的に話を続けられる。
彼に聞きたいことは沢山ある。けれどなにから話せばいいのか、そもそもそんな話を今此処で出してもよいのか、会話下手な私にはわからなかった。
「あぁそういえば、ぐちつぼ達とはどう？仲良くなれた？」
そこでやっと、彼がスマホから私へと視点を変えた。彼を凝視していた私は慌てて目を背ける。
『へ……ど、どう…かな…いまいち、よくわかんないって言うか…むこうが私のこと嫌いじゃないといいな、みたいな…』
「ふ…相変わらずネガティブだなぁ」
言いながら微笑むとそっと頭に手を伸ばされる。それに驚いて、ぎゅっと目を瞑り肩に力を入れた。
しかしそんな警戒も甚だしく、そっと頭を撫でられる。
「大丈夫だよ。あいつらは、Aが思ってるほど怖くない。むしろ俺たちと一緒」
『…い、いっしょ…？』
「そう、ただ音楽が好きで仕方ないやつら」
なぜ今、ぐちつぼくん達の話をするのだろうか。なぜ彼はわざわざ、彼らの話をしたのだろうか。もっと話すべきことがあるはずなのに、どうしてその話題を優先したのだろうか。
頭の中で積もるだけの疑問が、口先からでることはなかった。
「Aなら、もっとあいつらと仲良くなれるよ。初めてできたクラスメイトの友達でしょ？俺やきょーさんみたいに、らだおくんが紹介したわけじゃない」
前触れもなく挙げられた人名は、てっきり地雷ワードだと思い込んでいた旧バンドメンバーの名だった。
そこで気づく。恐らくみどりくんは、私の心配をしているのだと。
「俺のバンドメンバーではあるけど、俺の介入なしに仲良くなったから関係ない」
高校に上がってから、例の件のこともあって彼とは全く話せていなかった。
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです；； 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います！ 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (
レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…！評価の星の右側を何百万回押したいぐらい！最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。（僕は今発熱なう）応援してます！あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑川林檎 | 作成日時：2023年8月5日 5時
