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そしてそれを後悔する今、私は初夏の熱気に素肌を晒している。

「これより、体育祭を開催致します。」

壇上に上がった生徒会らしき人物が開会宣言をすると共に、寝不足の頭に痛いほど響く熱狂。この暑さに負けじと唸る生徒らのその声は、今の私にとっては毒でしかない。

『寝不足の体育祭とか…最悪だ』

あわよくばサボろうと思っていた、大嫌いな運動の祭典。
私の考えた様々な言い訳を見据えたように、数日前らだおからは「俺のかっこいい姿見れるの、今年で最後だよ?」だなんだと釘を刺されていた。その自信満々なナルシスト発言は、一体どんな人生を送っていたら出てくるのだろうかと妬み思う。

そうは言えども、彼の発言も事実この上なく。私は渋々と行事の参加を覚悟した。したのだが。
前日になり現実逃避に走ることを決意し、大好きな音楽に打ち込むと気づけば日が昇っていた訳で。

『むり…どっかでサボろ…私ひとり欠けたって誰も気づかないし…』

今にも横になりたい一心で、睡魔で霞む目を擦りながら私は屋外に設置されたテントを後にする。

校舎側の方へと足を踏み入れれば、普段の雰囲気とは打って変わった沈黙に迎えられる。
校舎内には教員がいる為、サボりの事実を目撃されてしまう可能性がある。そこで私は、先日校舎裏で見かけた倉庫小屋の方へと向かうことにした。

まだ6月の頭だというのに、スタートを切ったばかりの夏は肌に汗を滲ませる。ハンドタオルでそれを拭いながら、フラフラの足でなんとか歩みを進める。

『…あ、ここめっちゃいい』

そして辿り着いた所は日陰と風通しに恵まれた、サボる為に用意されたと言っても過言ではない場所だった。
乾いた地面に腰を下ろす。倉庫の冷たい壁に背を預けると、待っていましたと言わんばかりに睡魔が顔を覗かせる。

『夕方には…起きる…か、ら…』

瞳を閉じかけながら、そんな誰にも届かない独り言を呟く。きっと体育祭が終わってから、らだおが探しにきてくれる。そう信用して意識を手放そうとした、その時。

「…今年は先客いるのか」

聞き覚えのあるその声が、閉じきらない瞳の向こうから聞こえてくる。しかし睡魔はそれに敵わず、その人物を目視しようとも身体を起こそうとも思わない。

「おーい、A。こんなところで寝ると風邪ひくよ。おい、おい起きろって」

『ん…』

「…あー、もう」

そんな声が聞こえた後遠ざかっていく足音。それに安堵し、再度夢の世界へ向かおうとする。

『ひゃっ…?!』

しかし頭上から降りかかる冷たい液体物に驚き、預けていた背を起こし慌てて顔を上げた。

「やっと起きた」

『え、あ…みどりくん…』

:→←2-2)近くて遠い。



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作品ジャンル:恋愛
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時

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