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2-2)近くて遠い。 ページ45

《Aside》

 あれから2週間ほど。私はぐちつぼくんの力を借り、なんとか全科目赤点回避を成し遂げた。
返却されたテスト用紙を見るなり、それはもう心を躍らせたことを覚えている。どれだけ用紙を凝視していたことか。その様子を伺っていたぐちつぼくんに気づいた時、私は咄嗟にガッツポーズで戦果を報告した。

だが赤点を回避したとは言え、英語や理科などの教科は全般に、四捨五入すればほとんどアウトの滑り込みだった。今のペースの勉強量で次回の期末に臨んだ場合、どんな目に合うかはおおそよ検討がつく。

しかし今は、この余韻にしばらく浸らせて欲しい。再びテスト前の生活に戻るだけとはいえ、一度頑張ったのだから何か褒美のひとつくらい自分に与えても怒られはしない。

そう思っていた矢先。

『えっ、給料?でもライブハウスの仕事はあくまで手伝いって…』

「Aは今年から高校生だろう?だから、今後【館】の手伝いはバイト扱いにする。小遣いじゃなくて給料。いつもありがとうな」

いつものようにライブハウスの片付けを手伝っていると、義父がそんなことを告げてきた。手渡された茶封筒からは、想像以上の重みを感じる。
そういえば、らだおはよくこれと同じ封筒を受け取っていたっけな、と思い出した。

「お〜ついにAもバイトデビューかぁ!じゃあ今後、バイトの時は俺のこと先輩って呼んでよ」

『なんでそうなるのよ』

噂をすればなんとやら。背後からモップを片手に歩み寄ってきたらだおにそう言われた。

バンドを組んでいる学生は、バイト代の大半がその活動資金へと回されるため手元に残らない。しかし私は【運営】の臨時ギターを一度受け持っただけであり、正式にバンドへ加入していない。よってこのお金は、私の趣味に投資しようが誰も咎めないということだ。

「めっちゃ嬉しいそうじゃん」

『うるさい』

すっかり気分の良くなった私は、頭の中で欲しかった物をリストアップしながら残りの作業を行った。


その数日後。私は新しく手に入れたギタースコアとエフェクターを手元に並べていた。
義父から譲ってもらったのはギターと、それからアンプ、初心者向けの音楽雑誌、他にはピックやらケースやら…と、音楽趣味を行う上での必要最低限の物品だった。

そもそも、ここまでギターに熱中するなど自身でも思ってもみなかった為、少し前まではこれらの様な機材に興味すらなかった。
しかし今では臨時でバンドに参加するまでに、その趣味の勢いを加速させている。

『これで憧れの歪み作りができる…』

平日のど真ん中、私は後先考える間もなく大好きな音を一晩中響かせた。

:→←S2-1)抑え込む想い。



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作品ジャンル:恋愛
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時

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