: ページ31
初期ステータスにおいて既に生存価値の低い人間が、たった今この行動で生存価値がマイナスにまで降格してしまった。愚かにも、自分で自分の首を絞めたのだ。
そんな私に人間だと名乗る資格はない。
『ぁ....................あ、ぁ............』
見事なまでに人間の言葉を話せなくなった、ただのタンパク質である。
完璧に人生が終了した私なんて、もうこのふたりからしたら友達でもクラスメイトでもなんでもないのではないだろうか。少なくとも、もし自分の知り合いにこんな奴がいたら恥ずかしくて縁を切りたくなる。
もうだめだ。私の高校生活はたった今、この時点で全過程を強制終了させられたんだ。
「ぶっ!あっは、はははははっ!!ま、まじ?!ぐふっ、そんなにっ勉強嫌なの?ねぇ、んはははははっ!や、やばっ、しぬ、んふ、笑い殺されるってあははっ!」
「…ん"ふっすまん、…ふはっ」
しかしふたりは、今にも崩れ落ちそうな崖に立っている私さえも、とんだ異端者だと突っぱねたりしなかった。小指でピンと弾きさえすれば、一瞬で奈落の底へ落下させられたはずなのに。彼らは本当に笑い死んでしまいそうな勢いで吹き出していた。
『............お願いします成仏させて下さい私はもうこの世に存在しません』
「ねっねぇ!ほんとにっ、はっあは!なんでそんなおもろいことばっか…あー、あーもうムリっ!いっはははっ!」
特にたらちゃんは床に膝をついてお腹を抱え、付近にあった机をバシバシと叩いている。思わず台パンしてしまうほど、なにがそんなに彼らのツボにハマったというのだろうか。気づけばぐちつぼくんまでもが、聞いたことのないような引き笑いで息苦しそうにしている。
『........あ、あの....すみません...』
「はーっ、あーっごめんごめん大丈夫だよ。いやでも、こればっかりはAちゃんが悪いからね?!」
数分経過してようやく落ち着いたのか、たらちゃんはズイっと私に身を寄せてきた。思わずたじろいで謝罪すれば、再び私が面白いだのなんだのと言い始める。
「っあーあ、笑い疲れた。そういえばAさん、今朝言ってたっすよね。ギター教えてもらう代わりに…って。俺は全然、それでAさんが助かるならいくらでも協力しますよ。俺も俺で、貸しっぱなしは性に合わねぇし」
背後に立つ彼を見上げると、太陽のような眩しい笑顔で私を見ていた。突如彼の雰囲気が一変したような気がして、幻覚でも見ているんじゃないかと何度か瞬きしてみる。
その途中で彼と目が合った。心臓を握られたように、その眩しい笑顔に捕らえられたのだ。
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時