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「もー遅いって。どっちみち、俺ここじゃ楽器叩けないのに…ってことでゲームしてもいい?」

そういえば、彼はドラマーだと自称していた。しかしここにはぐちつぼくんが自身でギターを弾くための機材しかそろっておらず、無論ドラムセットなど常備されていない。
よって彼は、ここにただ遊びに来ただけということになる。

私はというと、昨日の約束を早速果たすべきだと急かすたらちゃんに言いくるめられ、ここまで付いて来てしまったという状態。
先月やみくもにギターを背負って登校して以来、久しぶりに校内にギターを持ち込んだ。心こそ落ち着かなかったものの、放課後には思う存分弾けるのだと考えることであまり気構えしなくて済んだ。

「だぁからダメだつってんだろーが!もう時期中間テストなんだから、お前はその辺で勉強でもしとけ」

再び呆れた声をあげながら、部屋の隅にある勉強机を指さす。どうやらそれはぐちつぼくんの勉強机らしい。当たり前か、ここは彼の部屋なのだから。

そんなことより、今彼はなんと言ったか?

『...ちゅう、かん.....................テストぉ?!』

「うおっ?!初めて聞いたその声」

自身でも信じられないほど大きな声が出たことに驚愕するが、今はそんなことに構っている場合じゃない。今の私はどんな表情をしているだろうか。きっと、いや間違いなく、この世の終わりのような顔をしている。

どうしよう、その恐るべき存在をすっかり忘れていた。学校という牢獄における、悪魔の祭典を。

何度でも豪語するが私は勉強ができない。それは今までもこれからも、きっと揺るぎない事実だ。
そして高校における定期考査というものには、中学とは一味違う縛りが存在する。そう、赤点制度だ。
これが存在し続ける限り、私はある一つの追手から逃れることができない。

『補習…この学校厳しいんだよね…しかも1回目のテストから早速赤点なんて取ってたら3学期の頃には進級なんて、いやそもそも学校に残れるかすら危ういんだ。最悪退学なんて未来も…あぁ、学生辞めたい高校辞めたい…でも辞めたら中卒のダメ人間で終わるんだ、中卒だけは避けたいそんな学歴も終わってるなんの取り柄もない私なんて誰にも必要とされないし、むりむりむりむりむ……あっ』

ふと顔を上げる。体を突き刺すのは、私を見つめる2つの視線。そのあまりの痛さに身動きが取れなくなってしまった。全身の毛穴という毛穴から、己の生気が抜けていくような感覚だ。

心うちに考えていた事が無意識に声に出ていたらしい。気持ち悪いほどの早口でツラツラと、私は脳内の独り言を口頭で解き放ってしまった。

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作品ジャンル:恋愛
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時

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