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1-5)期待の新生バンド、予行。 ページ23

《Aside》

 翌朝。昨晩チャットアプリ内に生成された新しいトーク画面を永遠と見つづけ、私は無事に寝不足で学校へ登校した。あまりの嬉しさに興奮して、自身の睡眠時間を削ってしまったことを後悔しながら。

可愛らしいキャラクターのスタンプで挨拶を交わしただけのチャット。たったそれだけのはずなのに、生まれて此の方自分で友達を作れたこともないような人間には、そんな些細なチャットすらも人生で一番の思い出のように感じてしまう。

一生で一度しか経験できないどんな学校行事も、友達がいない私にとっては白黒の経験にすぎない。しかし、もし彼らと友達になれたなら、今後の学校生活は虹色の素敵な思い出になるのだろうか。

未だ校内に教員すらいないのではないのだろうかと錯覚させるほど静かな教室で、ひとり机に突っ伏し妄想に頭を働かせる。相変わらずそういった無駄なことに対しては積極的な自分が悩ましい。
だが、あと小一時間もすれば始まる授業にその頭を使う気はない。学生として恥じるべきだとは思うが、私はあえて声を大にして言う。勉強は嫌いだと。

高校生活始まって早一ヶ月と少し。すでに授業についていくことを断念して授業時間を睡眠時間にすり替えている私は、教員からしたらとっくにクラスの問題児の部類に入っているだろう。

そんな私の隣の席の生徒は、まるで私の劣等生っぷりを際立たせるために隣人になったのかと言いたくなるほどの優等生だ。
時々、授業中に夢の世界から戻ってきた際にチラリと彼の方を見ることがある。言うまでもなく彼は、真剣に教師の話を聞いているし、板書もしっかり行っているようだった。
その姿が目に入るたび、すぐに視線を逸らしては自身の情けなさにため息をついた。

『ギター教える代わりに勉強教えてくれたり…なんてわがまますぎるかなぁ〜無理だよねぇ〜…それ以前にやる気ない時点で、教えてもらうなんて図々しいこと頼めるわけ…』

「………Aさん?」

『ひぇっ?!…………………ぁ……』

なぜ私は、こんなにも静かな教室の扉が開く音にすら気づかなかったのだろうか。
勢いよく振り返った先には、たった今独り言で話題に上がっていた人物の姿があった。彼の姿が視界に入った途端に硬直する体。情けない声が漏れてしまったこと以外、私は身動き一つ取れなかった。

「あ、えっと…そこの席…」

この歳になっても、未だに相手の顔を見て会話ができない私ですらわかる。
きっと今ぐちつぼくんは、自身の席に勝手に鎮座する私を苦笑いで視界に捉えている。

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作品ジャンル:恋愛
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時

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