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1-4)期待の新生バンド、仕度。 ページ18

「あ〜じゃあ君の言う頼みってさ、もしかしてAからギター教わりたいとか、そんな感じ?」

『え?!』

「お〜よくわかりましたね青斗先輩!それぐらい一人で言いに行けばいいのに、ぐちさんってば女の子相手だからって照れちゃっても〜」

「だっ、だっからおまえ…!」

予想外の相談に驚きを隠せない私と、たらちゃんの言動に面食らっている夏津樹さん。私達は両方とも半開きになった口を閉じることができなかった。
するとその状況がツボに入ったようで、本日一番の笑い声を上げだすたらちゃん。私はその声で、フリーズしていた脳に意識が戻った。どうやら夏津樹さんも同じようで、爆笑する彼を放って話を続けた。

「…あんまこいつの言う事は気にしないで下さい。
その、実は俺たち今度初ライブがあるんです。バンド組んでから初の。けど、他メンバーに比べて俺だけ全然技量が追いついてなくて…もちろんAさんが良ければって話であって強制するわけじゃないです。ただの俺のわがままですし」

ははっと乾いた笑いで誤魔化す夏津樹さん。その横で目元の涙を拭いながら「俺はドラムやってんだ〜結構上手いんだよ!」と誇らしげに語るたらちゃん。
そうか、この2人も音楽をやっているのか。私はその共通点が判明しただけで、彼らとなら友達になれるのではないかと確信めいたものを感じた。
だが隣でアイスコーヒーを口に運ぶらだおは、どこか不安げな表情を浮かべている。

「ふ〜ん、なるほどねぇ…俺的には、互いに"他人に対する何かしらの抵抗"をもってる人同士が関わるのはあんま賛成できない。音楽は、それもバンドを組むための技量をつけるってなると、なおさら人間関係って影響する。これは先輩としてのアドバイスかな。
…まぁでも、Aは友達作りたくてしょうがないみたいだし、お互いにその"抵抗"を克服するいい機会になるのかもしれないけどね」

言いながら、私に向かってウィンクを飛ばしてくる。さらっとバラされたくない内容を晒されてしまった気がするが、またここで怒ってしまうのは先程のやり取りの延長線に過ぎない。なので無言でその腹立たしい顔面にデコピンを返してやった。
すると、甘ったるそうなパフェを口に運んでいたたらちゃんが何か閃いたらしい。華麗に指先をパチンと鳴らす。

「え!それなら早く言ってよAちゃ〜ん!俺も実は、Aちゃんと仲良くなりたかったんだよね。おんなじ音楽やってる人ってのもあるけど、Aちゃんクラスでいつも一人だし、誰とも話さないからどんな子なのかずっと気になってて」

心臓をグサッと刺されたような感覚に、一瞬背筋が凍った。

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作品ジャンル:恋愛
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時

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