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「はぁ、もういい。それで白井さん。本題なんだけど…」

『Aで、いいです…』

あだ名で呼称する許可を得ておきながら、私のことは苗字で呼ぶ夏津樹さん。正確にはあだ名を許可したのはたらちゃんであり、私は未だその名で呼んでいないが。
それでも、私のことももっと親しい呼び名で呼んでくれないかと提案する。

「……Aさん、でいいっすか」

「えっ!じゃあじゃあ、俺Aちゃんって呼ぶね!」

「おい、俺の許可なしにそんな''ちゃん''呼びなんて…」

『うるさい黙ってて。話進まないから』

たらちゃんの「Aちゃん」という言葉に反応したのだろう。即座に反応して突っ伏していた顔をあげたらだおに、すぐさま話を遮るなと牽制の言葉を投げる。
泣く泣く私の言う通りに大人しくなった彼を見て、今日は少しやり過ぎてしまっただろうかと反省した。

しかし彼の相手は後だ。今はともかく、目の前の彼らとのコミュニケーションに専念しよう。これは好機だ。この機会を逃せば、二度と私に友達を作る絶好のチャンスなど訪れないだろう。今ここで2人と仲良くなることは私の人生の分岐点に関わると、直感が訴えかけていた。

「ええと、Aさん。俺からの頼みを端的に言うと、俺の先生になって欲しいってことなんですよ」

『…せん、せい?』

「はい。その…先日の【運営】のライブ実は俺見に行ってて。友人に誘われて一緒に行ったんです。いい機会だから、って…その時Aさんのこと見て、クラスメイトにこんな才能持った人がいたのか!って、俺びっくりしました」

「え?じゃあ君、俺たちのこと知ってるの?」

【運営】という言葉に即座に反応したのは、私ではなくらだおだった。無理もない、彼は【運営】を作り、所属する帳本人だ。

「あ、もちろんです!この高校に頼城先輩がいるって話は聞いてました。成績優秀で運動神経抜群、歌の上手さは一級品の地元で名の知れたバンドマン。俺はめちゃくちゃ尊敬してます!」

「え〜めっちゃ褒めてくれるじゃん…照れるなぁ」

唐突な称賛の嵐に、流石のらだおも照れた様子で頬をかいていた。へへっと笑うその横顔は、整った顔立ちがより一層際立って見えた。

「なぁにA〜俺に見惚れちゃった?」

『…は、はあ?別になんでもない』

じっと彼のことを見つめていると不意に目が合った。ニヤリと口角を上げたらだおに、また揶揄われる。
その表情を見た私の心音が急激に上昇したのは、彼に対して憤りを覚えていたからだろう。

そう決めつけて前に向き直った。

1-4)期待の新生バンド、仕度。→←:



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作品ジャンル:恋愛
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時

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