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その後反省の色を見せつつも、本当に反省しているのか疑わしいほど私にベタベタとくっついてくるらだおを一蹴した。それから背後の彼らに向き直り、話の続きは場所を変えないかと提案して学校を出た。
私にしては、とても良い案を堂々と通達できたのではないかと、道中もうざったいほど引っ付いて離れないらだおを無視して思った。
そして、今に至る。
注文後すぐに届いたカフェオレはもう半分ほど飲んでしまった。先ほど怒りに任せ大声を出しすぎたせいだろうかと考える。
『あの……えっと、話っていうのは………』
兎にも角にもここへ来た理由を果たさなければ、隣のシスコンはどうにもならない。私は覚悟を決めたように声を絞り出した。
するとらだおに呆気を取られていた隣の席のクラスメイトが声を出す。
「あ、ああそうでした。えっとその、頼みと言うか…なんと言うか…」
「いやまって、その前に自己紹介しよ。多分この感じだとAさん、俺たちの名前覚えてないっしょ?」
しかし本題の前に自己紹介を、と金髪の生徒が提案する。私もそれには賛同だった。未だに彼らを心の中で「〇〇な生徒」と形容していたのだから。
「俺は鱈沢紅星!よくたらこって呼ばれてるけど、女の子にはたらちゃんって呼ばれることが多いかな〜」
『た、たら…ちゃん…?』
元気よく自己紹介をする金髪の生徒は鱈沢と言うらしい。しかし本人が望むのであればその呼称を使うのが良いのだろうと、人間関係ビギナーの私は思った。
私がそう呼ぶと彼は目をキラキラさせ嬉しそうにしていたので、おそらく正しかったと思う。呼称するこちらが少々恥ずかしい気もするが。
「あ、俺は小針夏津樹っす。一応白井さんの隣の席なんすけど…」
『あ、はい…存じております』
どこか距離を感じるやりとり。グイグイと迫られると慌ててしまう私にとってはやりやすいが、たらちゃんに比べクラスメイトにしては硬い挨拶に少し悲しくなる。
やはり私は、周囲によく思われていないのだろう、と。
「ぐちさんはぐちつぼってあだ名あるから、好きに呼んであげて〜!ちょっと女の子苦手なだけだからそんな硬い言葉使わなくても大丈夫だよ〜」
「おまっ…勝手に…!!」
ところがそんな不安は少し解釈違いだったらしい。女の子が苦手、つまり異性が苦手という意味なのだろう。
耳を赤く染めた彼は、たらちゃんへの怒りを抑えているようだった。
『じゃ、じゃあ!ぐ………………夏津樹、さん』
「あっは、結局普通に呼んじゃうのか〜やっぱAさん面白いな〜んはははっ!」
再び笑い出したたらちゃんは、夏津樹さんに思い切り頭を叩かれていた。
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時