: ページ14
「ちょっと話があって……って、あのー白井、さん…?」
『へ…?あ、ああああす、すいませんいやあのべ、別に大したこと考えてないですよ?!な、なな、なんで私みたいな奴にあなた達のような人気者の方が声をかけてきたのかなって、ただ、それだけ…で…あの…えっ、と…その……』
突然我に帰り、早口で意味のわからない言い訳を捲し立てた私に向けられる不審の目。シンっと静まり返った教室内を満たす微妙な空気が、私の喉を締め付けるようだった。
苦し紛れの言い訳を、となぜか意味もなく口を開いた先の私をひどく憎む。
「…っぷ、あは、あははっむり、我慢できんっ」
「お、おい!たらこてめっ…女子に失礼だろ?!」
突然笑い出した''たらこ''と呼ばれた生徒の肩を掴み、見るからに強い力で揺する隣の席の彼。
「いやだって…っぐふ」と未だ抑えきれない爆笑を続けるので、彼はやれやれと言う風にその手を離した。
「すまん白井さん。コイツのこと、無視していいから」
「ふはっ…え?今のセリフは流石に聞き捨てならないけど?」
呆れたように私に申し訳なさそうに呟くが、その言葉が笑いに終始を打ったらしい。途端に金髪の生徒の表情がスンと我に帰る。そして訪れる静寂。
「あーあー!せっかくこの優しい俺が!ぐちさんが『どぉしても〜どぉしてもぉ〜』とか媚びてくるからぁ!!つきそ
「あああああああああ!!待って、わかったから!!!」
ところがそれは、数秒と経たずして打ち砕かれた。
ギャアギャアと言い合いを始める2人。呼び止めた私を放置して、兄弟のように仲良く口論を始めたその状況に身動きが取れなくなった。
こんなとき、私はどうしたらいいのだろうか。なにか声をかける?いや返って刺激するわけにもいかないし…そもそも、私にそのような度胸はない。無論、クラスメイトと普通に会話もできないのであるから尚のことだ。
唸りながら目の前の状況の打破策を講じていると、不意に背後から安心感のある温もりに包まれた。
その温もりは私のよく知る包容力そのもので、頭に乗せられた大きな手は紛うことなきその人のものだった。
「ねぇ君たちさ〜僕の妹の前で喧嘩とか、しょうもないことしないでくれる?」
『ら、らだお…!』
頭上を見上げると、自分より幾分か背の高いらだおの顔がそこにあった。途端に訪れる安心感。それに身を任せると共に身体をも彼に預けようとしたが、ここが学校であり今はクラスメイトが目の前にいることを思い出す。
その途端、顔に熱が集まるのと共に怒りが湧き上がってきた。
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時