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「そんじゃ、ライブお疲れ様でしたーってことで…かんぱいっ!」
ライブ後、Aら3人は頼城宅で打ち上げをしていた。
打ち上げと言っても、青斗の自室にてジュースで乾杯しているだけであるが。
「いっやほんとまじでAの演奏最高だった〜〜!」
「せやなぁ、あんだけ緊張しとった割には興奮して走り気味やったし?」
なぁ?と言いながらこちらの顔を覗き込んでくる恭。彼にニヤニヤとからかわれ、Aはなんだか恥ずかしさを覚えてしまった。
『だ、だって…すごく、うれしくて。
ずっと叶えたかった夢、ふたりのお陰で叶えられちゃったし…ライブ、めちゃくちゃ楽しかったし…
…ま、まぁ、その………ありがと』
話しながら徐々に増してゆく頬の赤みを意識して俯く。
すると、どこか期待していた温かみに包まれた。
「んん〜!そっかぁ、楽しかったかぁ!ねね、Aは今日の俺の歌声どうだっ
『ああ〜もう!引っ付くなぁ?!』
背後から急に抱きつかれてしまい、持っていたジュースをコップごとこぼしてしまいそうになる。
そんな私達を見て、恭は「相変わらず仲ええな」と笑っていた。
『そういえばさ』
「ん?」
ふと、Aは本日の初ライブで感じた疑問を彼らへとぶつけた。
『みどりくん…来てたね』
「あぁ」
「…あんだけ啖呵きってAに託した割に、結局Aのこと心配やったんやろうな」
恭がやれやれといった様子でそう告げた。
その言葉に、Aはあれは彼なりの優しさだったのだろうかと腑に落ちた。
それと、もう一つ。
『…あと、話変わるんだけど
なんで【運営】って恋愛ソング専門みたいな感じなの?』
「ぶっ…!」
「えぇ?その話聞いちゃう〜?」
素朴な疑問だったのだが、なにかまずかったのだろうかとAは不安になる。
なぜなら恭が盛大に吹き出し、今にも爆笑せんと笑いを堪えているからだ。
青斗に関しては、まるで一番触れないほうがいい話題だったとでも言いたげな表情である。
Aがコクリとひとつうなずくと、青斗は唸り声を出し始めた。
「…作詞は俺がやってるの知ってるよね?」
『うん。だから…』
「歌詞の意味、そのままだよ」
それは青斗にしては曖昧な回答だった。遠回しで、抽象的な。
『歌詞の意味、って……よく考えれば、片思いの恋愛ソングが多い?』
「んふふ、そー。せーかい」
『えっと…?』
キョトンと首をかしげるA。気がつけばいつの間にか恭の姿はなく、用を足しに部屋を出たのだろうかと推測する。
「俺が好きな人に向けて書いてる詞だよ」
その瞬間、なぜだか心が酷く痛んだ気がした。
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緑川(プロフ) - ぴとあさん» コメントありがとうございます!!そのように評価していただけてとても嬉しいです;; 体調を崩されてらっしゃるのですね、お大事になさって下さい。当方の作品で少しでも元気になっていただければと思います! 励みになります、今後ともどうぞよろしくお願いします。 (1月2日 21時) (レス) id: 581670bd91 (このIDを非表示/違反報告)
ぴとあ - 好きです…!評価の星の右側を何百万回押したいぐらい!最近寒いので体調に気をつけて頑張ってください。(僕は今発熱なう)応援してます!あと夢主の勉強嫌いめっちゃ共感 (12月31日 15時) (レス) @page46 id: dda73027c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緑川林檎 | 作成日時:2023年8月5日 5時