勤務37日目 ページ39
少年裁判は原則非公開で行われる
だから今回も、傍聴席は誰もいないと思っていた
『は…』
だからこそ、見覚えのある人が傍聴席に座っているのを見て思わず声が出た
副検事の自分からすれば上司となる御剣くん
余計に緊張が増してくるけれどやるべきことはしなくては
序盤で弁護人からいつものように書記官だと勘違いされてしまったが、審議に入っていった
いつものように証人の証言から、尋問、異議を唱えられる
「_被告はまだ少年であり、未来がある。なおかつ、検察側は決定的な証拠を持っていない!」
今回は傷害罪の容疑がかけられている少年の裁判
普通なら検察の出席はしない
しかし今回は被害が大きくなったために、検事の介入が必要になってしまった
調査官として様々な非行少年たちと関わってきた私が検事として出て欲しいと
弁護側がそう主張するのなら、こちらも黙ってはいない
『異議あり!…それならばお見せしましょう』
私の指先は、真っすぐと弁護人を指した
私が提出したのは2つの証拠品
『防犯カメラの様子と、使われた凶器です』
被告の少年の顔に焦りが見えた
『防犯カメラには彼の犯行の様子が映っています。そして、凶器にはしっかりと指紋もついていました。
…確かに、彼には未来があります。しかし、事実を受け止め反省することも必要です。
未来があるからこそ、きちんとした判決を受けるべきではないでしょうか』
傍聴人がいない法廷で自分の声だけが響く
『私からは以上です』
最後に、にっこりと弁護人に笑いかけた
「そのようなもの…私たちは見ていない!」
当然、弁護人も黙ってはいなかった
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作者名:紅 | 作成日時:2022年1月4日 1時