勤務34日目 ページ36
トノサマンの事件の裁判も最終日を迎えた
今回の法廷で無罪を勝ち取らなければ、被告人は有罪判決になってしまう
『弁護人の腕の見せ所か、…』
今日も証言台に証人が立ち、法廷が開かれた
…最初は冷静で、焦りなんて一切見えなかった証人
けれど、それは成歩堂くんの尋問と異議によって全て剥がれ落ちていく
『…まとめるの時間かかりそうだな…、』
今日だけで情報が多く追加されたため上手くまとめられず苦戦してしまった
それと同時に、
『イブクロさん、…過去にそんなことがあったのか、…』
知ってしまった過去に衝撃を受けた
主役から転落したのも、今回の事件を引き起こしたのも
人とは本当に怖いもの、そう実感させられた気がした
真犯人は潔く自白した
なんとなく、表情が明るくなったように見えた
『…辛かっただろうな』
いくら正当防衛とはいえ、事実は変わらない
「Aくん、あの方のカウンセリングを…」
『わかっています、』
今回の裁判の記録を裁判長へ提出した時にそうお願いされた
自分としては元からそのつもりだった
「この後すぐ別の裁判で検事を担当するのに…色々と任せてしまって…」
『…大丈夫ですよ、この後の裁判は今日中に終わらせますから』
「ふむ…頼もしい限りですな」
そう、これまでの仕事と並行しながら…いや、こちらを優先してきた
過去の例を調べ、証拠を集めて…
被告の有罪を勝ち取るためにできることは全てしてきたはずだ
『では、このまま次の法廷に向かうので…』
「健闘を祈ります」
今度は私が戦う番だ
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作者名:紅 | 作成日時:2022年1月4日 1時