勤務24日目 ページ26
撮影所を後にして裁判所へ戻ってくると、そのまま帰り支度をして帰路についた
『恥ずかしかった…』
ずっと恋愛とほぼ無縁の生活を送ってきたせいだろうか
家についた今でも顔が少し熱い
初恋だった、…あの人が
あの学級裁判のとき
皆で一人を責め立てるあの空気、
それが怖くて震えることしかできなかった私
そんな私に勇気をくれたあの人
誰よりも勇気があって、かっこよくて、憧れだった
『孤独な人の味方になるんじゃなかったの…』
弁護士になるんだって頑張っていたのに
『今じゃその逆になっちゃって…』
急にいなくなってしまったことにショックで暫く立ち直れなかった
初恋を忘れようと思ったこともあった
それでも、忘れることなんてできなかった
どこかで御剣くんが頭をよぎって、忘れさせてくれなかった
まるで、再会することをわかっていたかのように
『なんでここで再会しちゃったかなぁ』
嬉しいような、なんとなく嫌なような
ずっと複雑だった、でも、
『…何かの縁だもん、チャンスにしてやる』
もう、弱い自分とはサヨナラしたんだから
『それに、きっと御剣くん本人も何かしら抱えているはずだもんね』
何か大きなきっかけが無ければ、信念は崩れはしない
『よし、もう一回恐怖症について調べてみよう』
私に勇気をくれた人に恩返しがしたい
ただ、幸せになってほしいから
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作者名:紅 | 作成日時:2022年1月4日 1時