勤務10日目 ページ12
「な、なんでお前がここに…!」
『何でと言われましても…』
仕事だもの、放棄するわけにはいかない
『御剣くんが勝手に“これ以上関わることはない”って言ったんじゃん、私は一言も関わらないとは言ってないよ?』
「ぐっ、…」
裁判所で働き始めて、彼の名前を聞くようになってから
いつかこういう日が来るだろうとは感じていた
『ほら、裁判長も来たことだし…』
自分の予想通り、かなり嫌そうな顔をしている
でも、この事実は変えられない
腹をくくったのか、御剣くんはスッと前を見据えた
「これより、荷星三郎の法廷を開廷します」
所定の時間ぴったりに裁判が始まった
冒頭弁論から始まり、刑事からの簡単な流れを聞き
事前資料と見比べながら、確実にまとめていく
久しぶりだから、しっかりできるか心配だったけれどどうにか行けそうだ
そう思っていた、証人が来るまでは
『警備員のオバチャン…』
「あら、いい男だね!オバチャン、ちょっとトキめいちゃったョ」
「!?」
『わぁ…』
視線を送るまでもなく、御剣くんはかなり驚いているようだった
それに…証人の名前を聞くのにここまで手間取る検事なんて初めて見た
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作者名:紅 | 作成日時:2022年1月4日 1時