ｰ78ｰ ページ29
パッと大野さんを見ると、ふわんと微笑んだ。
智「んふふ、わかった？」
見なくてもわかる。
この匂いは、海だ。
智「ただ海に来ただけじゃないよ？近くに可愛いお店がたくさんあるから、Aちゃん気に入ってくれるかなって思って」
と、恥ずかしそうに微笑む。
そんな大野さんを見て、今日はもう ドキドキうるさい心臓を抑えるのをやめようと誓った。
だって、私のためにここまで連れてきてくれたんでしょう？
すごく……嬉しい。
そんな単純な言葉しか出てこないけど、それが本当だから。
智「あ……、もしかしてイヤ…だった？」
「ううん……ありがとうございます」
と笑って答えると、ほっと安心したように『よかった』とはにかんだ。
潮の匂いを感じながら、おしゃれな道を歩いていくと、
大野さんが言ったとおり、女の子が好きそうなお店がたくさん並んであった。
「なんだか……私だけ得するような感じが…」
智「そんなの気にしないの。好きなとこ行っていいよ？」
と言われて、お店のショーウインドーを見ていくと、気になる店が一つ見つかった。
派手ではなく、落ち着いた雰囲気の雑貨屋さん。
カランカラン…という音と一緒に店に入ると、一目であるアクセサリーに目が止まった。
「可愛い……」
小さくイルカがあしらわれた、ブレスレット。
智「んっ、いいね、それ」
大野さんもそう言ってくれたから、買おうと思って値段を見ると。
……いちまんえん…。
「うん……やっぱり別のを買いましょう」
智「何で？いいじゃんこれ。Aちゃんに似合うよ」
ブレスレットを手に取り、まじまじと眺める。
「いえ、これにします」
1000円コーナーと書かれたハート型のイヤリングをレジに持って行く。
普通のサイズより小さいデザインに惹かれて、つい買ってしまった。
それでもやっぱり、一番欲しいのはあのブレスレットで。
だけどちょっぴり手が伸ばせない。
「買い物、終わりました」
智「ほんとに よかったの？イルカ」
「はい」
夏にピッタリと想ったんだけど……仕方ない。
智「じゃあ海、行こうか」
再び大野さんに手を引かれて、海へ向かう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 229人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れい子 | 作成日時：2013年9月24日 4時
