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翔「Aさん」
「あ、櫻井さん」
突然ｷｬｰと小さな黄色い声が聞こえて入り口を見ると、
櫻井さんがじきじきに広告部に現れた。
その表情は、どこかしら嬉しそう。
……何かイイコトでもあったのかな。
「どうかしました？」
翔「うん、これ」
と渡されたのは、広告の完成サンプル。
「凄い……いいですね!」
翔「でしょ？」
この広告が完成したら、街に大きく掲げられる。
そう思うと、わくわくしてきた。
翔「それでなんだけど……」
「はい？」
翔「これをデザイン部に持っていってくれない？」
「デザイン部、ですか」
翔「うん。最後にそこに頼んで、いよいよ完成だよ」
「わかりました」
『お願いね』と言われて渡された資料を持って自分のデスクに戻ると、
二宮君が私をじーっと見ながら、コーヒーを飲んでいた。
……まだいたのね。
「何？」
和也「どこに行くって？」
「ああ、デザイン部」
和也「ふーん」
そういえば……デザイン部ってどこにあるんだっけ。
2、3回しか行ったことないから、忘れてしまった。
和也「俺が渡しに行こうか？」
「え、いいよ」
和也「どうせ行き方わかんないでしょ」
「……」図星
和也「迷子になるより俺に頼んだ方が良いと思うけど」
「いや、でも……」
和也「どーします？」
「……お願いします」
ああ……今度社内見学にでも行くかな。
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作者名：れい子 | 作成日時：2013年9月24日 4時
