幻想郷【sn】 (ページ3)

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幻想郷　3 ページ3

kj「…死んだん？」
ab「それは分かんない。どんな罪を着せられたか知らないから」
kj「でも、ここには帰ってきてない」
ab「本当のことは、その人にしか分からないよ」

康二がどう思ったのかは分からないけど、家の中にあったものを全て持って帰ると言った。

大事に1つ1つ包んでいる康二の姿は、今まで見た中で一番儚く見えた。

dt「いつから跡地？」
ab「情報が確かなら、4年前」
dt「康二は5年近く江戸屋敷に飼われていたんだよね？」
ab「そう。恐らく罪人を捕えに来た役人に見つかったんだろうね」
dt「捜すのは難しいか…」
ab「前途多難」

：：：

sh「…どうしちゃったの？」
dt「阿部が」
sh「おい」
ab「悪かったけどね！？悪かったんだけども」
dt「まぁ康二も色々整理したいと思うから、暫く様子見しよう。分かった？翔太」
sh「涼太がそう言うなら…」
ab「さすが主に従順な犬」
sh「聞こえてるぞ」

翔太から逃げて歩いていると、縁側に腰かけ月を眺める康二の姿があった。

康二の腰には今日持ち帰ってきたうちの1つ、扇子が差されていた。

ab「壊れてない？」
kj「使えはしないやろな」
ab「そっか」
kj「…何で捜そうとせんかったんか分からへん」
ab「康二が生きるのに必死だったから」
kj「…言い訳や」

多分、今の康二には何を言ってもダメだろう。

後悔の念が強すぎるから。

でも康二には自分の生き様を後悔してほしくない。

それは康二だけじゃなくて“妖”と呼ばれる全てのモノたちに。