2話 手入れ ページ4
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「 手入れなんて必要ない。そもそも、俺達に審神者は必要ない 」
彼___いや、鶯丸は私にそう言う。
「 安心して下さい。私はあなた達に触れません。
どうか、少し静かに____ 」
そして私は再び、目を閉じる。
手入れ部屋を私の霊力で満たす。
1人ずつ触れて 手入れをした方が霊力の消費は少ない。
が、彼らは触られるのを拒む。
多くの霊力を消費するが、彼らにストレスを余計に与えてはいけない。
だから、私は 初めてブラック本丸へ赴いた時から 私から触れることは無い。
「 さて、手入れは終わりです。
ここに来ているのは軽傷者と中傷者だけですね?
あとから重傷者の元へ行きます。」
「 おおひろま 」
誰かがとても静かな声で呟いた。
「 じゅうしょうしゃは、おおひろまにいます
さにわ、さま
どうか、いわとおしを たすけてください ____ 」
彼は、そう言い終わる前に 大粒の涙を流した。
刀剣から お願いされることは 珍しい。
それにしても、そんなに重傷なのか。
「 大広間へ向かいます 」
私は静かにそう言いながら立ち上がる。
前任に対する怒りは抑えきれない。
だが、前任に怒ったとしても 彼女はもうこの世には居ない。
「 主、無理はダメだよ 」
後ろから付いて来ている清光にそう釘を刺される。
でも、この状況で私だけ無理しないなんて 逆に無理。
「 ありがとう、清光 」
私はそう言って、大広間の襖に手を掛ける。
ふう、と深呼吸をし 開けます と一言。
襖を開ければ、そこには目を疑う光景が広がっていた。
辛うじて生きている者。
力尽きた者。
その悲惨さを物語る様に 金属の破片があちらこちらに散らばっていた。
「 皆さんを…手入れ します 」
彼らは自身を保つ事で精一杯だ。
私の存在になんて気づいていない。
部屋を霊力で満たせば、皆 幸せそうな顔をして眠りに着いた。
「 よかった 」
私は一言。
そう呟いて 大広間を後にした。
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鶴(プロフ) - 椿さん» ご意見、ありがとうございます(´;ω;`) (2019年5月8日 22時) (レス) id: f7d2eb1740 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 今まで通りがいいです! (2019年5月8日 22時) (レス) id: e36d1c7298 (このIDを非表示/違反報告)
くれは卍(プロフ) - 【改】が更新されるのを待ってます!頑張ってください! (2019年4月5日 22時) (レス) id: 325596c204 (このIDを非表示/違反報告)
キリンロング - 【改】が更新されるのが楽しみ過ぎて夜しか眠れません(真顔)。 (2019年3月30日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆらん | 作成日時:2019年3月26日 10時