閉じ込められた ページ4
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『お疲れ様でーす…ってまだ誰もいないじゃん』
2023年、8月某日。今日は珍しく2本録りと少なめな収録と企画会議を控えているため、いつものスタジオのドアを開けるとまだガランとした様子で。
いつも剣持さんか加賀美さんが先に着いてるはずなのにな、なんて考える。
2本録りで浮かれてみんな寝坊しちゃったのかな?と思いながらカバンなどの荷物を自分のロッカーに入れている時。ガチャン、と鳴る無機質な音。その音の発信源は、きっと私がさっきここに入ってきたドア。
まさかね、と思いながらもそのドアに近づき、開けようとしてみると、なんと開かないのだ。
『…えぇ…?』
流石に何かのイタズラだろうと思い、暫くドアノブを捻ってみるが一向に開かない。なんでだろう、と思っていると、つい先日甲斐田さんが言っていた一言を思い出した。
甲斐田「そういえば、最近このスタジオのドア立て付け悪くないですか?内側から全然開かない時あるんですよね」
その一言で共感する加賀美さんと不破さんの会話を、剣持さん家の犬の写真を見ている時に小耳に挟んだ様な気がする。
え、ていうことはもしかして私閉じ込められた…?
そう理解することには大して時間はかからなかったが、焦りながらも少し心を冷静にさせる。
大丈夫、スタッフさんに連絡を取ればいいだけじゃないか。
そう思ってスマホのLINEアプリを起動させ、ろふまおスタッフの中で一番お世話になっているスタッフさんにLINEを送ろうとした時、1つの会話履歴が目に入った。
スタッフさん今月のろふまお塾収録日内容です。
ご確認ください。
A確認しました。
ありがとうございます!
スタッフさんから送られてきたメッセージと画像。その画像をタップすると、並べられた8月の日付とその下の所々に見られる"ろふまお塾収録"(〇本収録)の文字。
その目線を今日の日付に滑らせていくと、なんと今日の日付には何も書いておらず、書いているのは1日ズレた明日だった。
『…嘘でしょ…』
だから社長も剣持さんも、アニコブでさえ来ていなかったのか。
ろふまお塾では唯一初期と比べてキャラ崩壊をしていないまとめ役キャラ(メタい)なのに、日にち間違いなんて失態をしてしまうなんて。
今日は誰もこのスタジオに来ないし、本格的に閉じ込められた事に気づいた私はその場にへなへなとへたりこんだ。
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作者名:きゅーぽん | 作成日時:2023年8月20日 19時