ロリポップ・ガール (ページ9)

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9:大樹ママと末っ子ズ① ページ9

「「お邪魔しまーーーす！」」

大「はーい、ちゃんと手洗うんだよきみたちー！」

「ねえー、なんで押すの慧ちゃん！」

慧「押してないだろー？ひなが遅いからぁ、」

颯「いや、慧ちゃん近いて、笑 …ほらぁ、A服濡れるから、」

夜の8時過ぎ。

俺の家の廊下をキャッキャしながら進んでいく子供たち。
…もとい、前から順番に、ひなそたけと。

せっかく家でゆっくり出来ると思ったのに
なぜこうなってしまったのか。

遡ること数時間前 … ────────

＊

「ねえ大樹くん、大樹くんちお泊り行きたい！！」

大樹「……え。」

全てはこの、ひなの一言から始まった。

大「…え、え、泊まり！？いｔ「今日！！」…今日！？！？」

「うん、今日。…だめ…？」

大「いや、だめではないけど、なんていうかその…」

ダメではない。うん、ダメではないんだ。
こんな機会滅多にないからむしろ嬉しいよ？嬉しいんだけど！

可愛い可愛いひなちゃんと一緒に過ごせる時間と、久しぶりに疲れた体を休めようと思っていた自分が心の中で葛藤し続ける。

「…やっぱり、また今度に、」

大「や、いやいやいや！！！大丈夫！大丈夫！おいで！」

「やったぁー！！！」

結果、敗北。

そんなあんな捨てられた子犬のような顔されたらさ、
俺、断れないよー…。

とまあ、こんな感じで、急遽決まったお泊り会。

ひなちゃんとふたりきりの空間(言い方よくない)を
思う存分満喫しようと心の中でガッツポーズをしていたんだけど、

慧「なになに、ひな大樹くんち泊まりいくの？！」

颯「なにそれ楽しそうですやん！僕も行っていいですか！」

大「ちょちょちょ、ちょっと待って！え、なに、2人も来るの…？」

颯「え、だめですか？」

大「ダメっていうか、いや、」

颯「って大樹くんとふたりって、なんか心配やし」

慧「うんうん、そうそれ」

大「いやいや！何を心配してんの！？笑」

慧「とーにーかーく！僕たちも行きますから！！」

「いや、あの、」

慧「晩ごはんなに食べますー？」

「わたしピザパーティーしたいなぁー！」

颯「おー、ええなあー！」

家主の俺の意見は完全無視で話を進めていく末っ子①②③。

…あぁ神様、どうか今日が平和に終わりますように。