ロリポップ・ガール (ページ22)

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22:風邪っぴきな子犬① ページ22

sota nakajimaごめん、今日いけへん
熱でてもた

本当なら一緒に出かける予定だった、久しぶりのオフの日。

寝ぼけ目で確認したスマホに颯太からメッセージが入っていて。
どうやら体調を崩してしまったらしい。

合鍵を使って、とりあえず、と思って買ってきた、スポーツドリンクやらゼリーやらを冷蔵庫にしまって、見慣れた間取りを抜けて忍足でベッドルームを覗くと、冷えピタをおでこに貼りながら息苦しそうに寝てる颯太がいた。

ライブに、ラジオにレコーディング、バラエティ番組の収録までギチギチに組まれたスケジュールを見て、本当に大丈夫なの？なんて心配したのもつい最近のこと。

全然余裕！って当の本人は言ってたけど、
身体はやっぱりきつかったみたい。

「 ……だから無茶しすぎって言ったのに、」

だけど頑張っちゃうんだもんね。

お疲れ様、の意味も込めて、ふわふわの前髪をさらりと撫でた。

颯「 ………ん、… 」

「あかん、起こしてもうた…？」

颯「 …あれ、A…？なんで、おるん、」

「熱でたって言うから、看病しに来た」

颯「あかんて、うつったらどうするん、おれ、」

「大丈夫やって。そや、熱は？…ちょ、起き上がらんでええから、な？もっかい測ってみて、冷えピタも変えよ」

体温計を渡してキッチンに向かおうとすると、クンッと後ろに引っ張られる感覚がして、振り返って見ると、きゅるきゅるの目をしながら服の裾を掴んでる颯太の手が。

颯「や、あの、」

「すぐ戻ってくるから、ね」

大丈夫、の意味も込めて、頭を軽く撫でてあげると「うん、」と大人しく布団の中に腕をしまった。

中島くん、熱を出すと甘えん坊さんになるみたいです。

冷蔵庫から食べられそうなゼリーとドリンク諸々を持って、
もちろん冷えピタも忘れずに。

ベッド脇まで戻ると、首をこっちに傾けながら寂しそうな顔でこっちを見てる颯太。

……捨てられた子犬か。

「熱どうだった？」

颯「 7ど、8ぶ… 」

「結構あるね。…はい、冷えピタ変えよっか」

颯「 ……う、ちめてっ」

「笑はい、ゼリー。こぼさないように気をつけてね」

颯「 ………… 」

蓋まで開けてあげて、はい、と手元に渡すとなぜか無言で突き返してくるこの子犬。

挙げ句、「あ、」と口を開けて待っている。

……食べさせろ、ってことですね。