土方先生と生意気JK (ページ17)

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「チッ…一番面倒な奴が来やがった。」

先輩は小さく舌打ちをして、パッと私の身体から離れる。

「よぉ、高杉。」

この変態ヤンキー先輩、高杉さんっていうんだ。

「三年のくせに随分余裕ぶっこいてんじゃねぇか。」

「生憎、俺は進学しないんでね。」

「就職するったって試験があんだよクソガキが。」

二人の間にピリリとした空気が流れる。
土方先生は冷静な口調とは裏腹に、目は全く笑ってない。

「兎に角、もう二度とコイツに手ェ出すな。次、俺の生徒に何がしたらタダじゃすまねぇぞ。」

そう言って、土方先生が私の肩に手を伸ばし、自分の方へと引き寄せる。

「…っ、」

ぎゅっと強く、土方先生の胸に埋められて、ドキドキと急に心臓がうるさくなった。

「ふっ…鬼の教師の異名を持つ土方十四郎が、今更熱血教師ごっことは……滑稽なこった。」

観念したように立ち上がる高杉先輩。

「…じゃあな。次は邪魔者がいない時に楽しもうぜ。」

「え…っ？」

そう言い残して、高杉先輩は颯爽と保健室を立ち去る。

ピシャリ－－－…と閉まる扉。

「た、高杉！てめぇっ！」

「待って…っ、土方先生！」

「…っ、A？」

「行かないで…っ、」

高杉先輩を追いかけようとする先生のスーツの裾を思わず掴んで引き留める。

なにやってんだろ、私。

わかんないけど、手が震えて、怖くて、先生にいなくなって欲しくなかった。

今だけは…
土方先生にそばにいて欲しかった。

「ったく…。」

そう言うと、ゆっくり座り直して私の乱れた制服のリボンを直していく土方先生。

「あーあ、こんなんにされちまって。」

先生の視線の先は、膝の傷。
解けた包帯とガーゼがぐちゃぐちゃになってしまっている。
すると先生は、救急箱から新しいものを取り出し、器用な手つきで傷の処置を始めた。

「先生…他のクラスの授業は。」

「それどころじゃねぇだろ。安心しろ、ちゃんと大量のプリント渡して自習にしてきた。」

「なんで来てくれたんですか。」

「近藤さんが血相変えて教室入って来て、お前が怪我したっつーから。」

それだけで、あんなに息切らして保健室まで来てくれたんだ。

ぼんやり考えてたら、いつのまにか膝には綺麗に巻き直されている包帯が。