【npl】引越し先にて。２ (ページ2)

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52 睡魔ページ2

仕事が早番で夕方ごろに退勤できた今日は、しゅうさんのお部屋にお邪魔する予定を前から入れていた。以前おすすめしてもらい借りたDVDを返すだけのつもりだったがせっかくなら一緒に映画を見ようだなんて話に進展し、なんだかんだ彼自身の部屋に入るのは初めてで、仕事の荷物を家に置きに帰ったあと隣のしゅうさんのインターホンを少し緊張しながら押した。

「あ、Aさん、こんばんは、すみません仕事が後少しで終わるんですけど…」

ドアから出てきたしゅうさんはお気に入りなのかよく着ているラフなパーカーを着て顔を出した。「あとちょっとなんで、待ってもらっちゃうんですけどよかったら入ってください」、そういったしゅうさんのお言葉に甘えて彼の部屋に入り、仕事が終わるのを待つことにした。

「適当に座ってくださいね」

「うん、ありがとう」

しゅうさんの部屋を軽く見渡すと物が多い感じで、家具などは暗めの色でまとまっていた。ベッドの隣にある座椅子に軽く座ると、在宅ワークが多いらしい彼はしっかりとしたパソコンデスクの椅子に腰をかけて、カタカタとタイピングをする音だけが部屋に残る。いつもより早く起きて出勤した私はその静けさに眠気を誘われていった。

「ふー…、すみません、今終わりました。」

「…あ、お疲れ様…。」

「Aさん…ちょっと寝てました？」

「少しだけ…」

しゅうさんの家にお邪魔してから20分ほどで今日分の仕事を片付ける彼を待っていると、自然と寝てしまっていた自分の反応を見てしゅうさんはクスクスといつも通りの笑顔を向けた。

「そうだ、これ借りてたDVD、ありがとう。」

「いえいえ、面白かったですか？」

「うん、こっちが特に好きだったかなあー、結構感動した。」

映画の感想を言い合っているとしゅうさんはさり気なく自分の分のついでのように私にもコーヒーを入れて差し出す。お礼を言う私と、予定通り映画を見る準備をしては、二人で横並びになり映画を見始めた。「ホラーなんで、部屋暗くしますか」と言ってしゅうさんは部屋のあかりを下げる。ホラー映画に対して耐性があるので怖いことはないが、部屋の暗さと睡魔が相俟って映画の途中で私は完全に寝落ちしてしまった。