7 理由 ページ7
「…部屋さっきのとこすよね？」
日用品を拾い上げた藤山さんは結局私と一緒に荷物を運んでくれるらしく、沈黙が続いた中でボソッと私に質問してくる。
「は、はい！藤山さんのお隣です！」
「りょーかいです…」
手荷物を散らしたところはそんなに遠い場所ではなかったのですぐ新居先のマンションに着く、さっき受け取ったばかりの鍵を手慣れないように私は解錠して藤山さんを家に入れた、もちろん新居先にはまだ何も無い真っ新な状態なので何も恥ずかしいことはなかった。
床に荷物を置くと藤山さんは新居の家を見渡す。
「いつから住むんすか？」
「今日からです…」
「えっ」
驚くのも無理はない、ベッドもなければ服もスーツケースに詰められたものしかない、近いうちに前の家から送ってもらうことも考えたが、連絡先はもう消してしまって、鍵は持ち歩いているが正直顔をみるのも嫌なので、一から新しいものを購入するのも手だとは思うけど、当分は床で寝たり、不便な生活か続くことに対して、きっと藤山さんは驚いているのだろう。。
「大丈夫…なんすか…？」
「いやー…ちょっとわかんないけど…たぶん？大丈夫かな…？」
不器用ながらも心配そうな顔をしてくる藤山さんに迷惑をかけまいと、ヘラヘラ愛想笑いを返した。
「なんで…こんな突然すか？」
「…じ、じつは…」
少し昨日今日の内容が濃すぎたため、自分も無意識に限界が来てしまったのか、荷物を運んできてくれただけの藤山さんに、全てを打ち明ける、昨日まで三年に渡る交際をしていた恋人に別れを告げて家を出てきたこと、就職したばかりで親しいと言える友人が居なく一人で即日入居が可能な家を求めて、ここにたどり着いたこと、最初は愛想笑い続けては心配をかけないよう、笑っていたが段々と笑えなくなり、気づくと自分の足にぽたぽたと水滴が落ちてるのを見つけて、自分が泣いてることに気づいた。
「わ！す、すみません、ごめんなさい…、馬鹿、みたいですよね、元彼とのいざこざでここまできて、泣くとか…」
喉がぐっと痛くなって泣いてるのが恥ずかしくなって自虐するけど、全然涙は止まらなくなった、藤山さんは私の前で動かずに話を黙って聴き続けては、優しく背中をさすってくれた。その優しさに耐えきれず溢れる涙も、止まるまでさすってくれた。
「なんか、わかんないんすけど、無理しなくていいんじゃないすか」
「…はい…ありがとうございます……」
その後ももう少し泣いてしまった。
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lllsaitoulll(プロフ) - かびさん» ありがとうございます！ペース遅めですがよけえば楽しんでいってください！ (2020年6月9日 1時) (
レス) id: 9c4d7f9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
かび - 楽しませて貰ってます！更新待ってまーす！ (2020年6月8日 12時) (レス) id: a6577ee058 (このIDを非表示/違反報告)
lllsaitoulll(プロフ) - キアンさん» コメントありがとうございます(^O^)がんばります！ (2020年6月6日 1時) (レス) id: 9c4d7f9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
キアン(プロフ) - おわ〜展開が気になります！更新頑張ってください！ヾ(≧∀≦*)ﾉ〃 (2020年6月5日 7時) (レス) id: dc2584af8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：斉藤 | 作成日時：2020年6月2日 1時
