これからのこと ページ48
花瓶の水を替えてくれながらソアは「Vさん、よく来てるの？」と小さく尋ねた。
「え、あ、うん」
疑われるような関係はないものの思わず身じろげば「別にとやかく言うつもりはないけど」と前置きをしてから「オンニがまたあんな目に遭うのは耐えられない」と漏らした。
「そんなんじゃないよ」
ソアの視線から逃げるように手元を見つめて呟く。
「ただ、テヒョンさんが優しいだけ」
「優しいからってこんなに来る？もしここに通ってるのが撮られでもしたら……って私のほうが気が気じゃない」
ソアは置かれた漫画本に目を移した。テヒョンさんからの差し入れだとは誰にも言っていないものの薄々気づかれはしているのだろう。
「……好きなの？」
「そんなんじゃないって言ってるでしょ」
「ま、いいけどね。事務所的に恋愛禁止なわけでもないし。特にオンニは不健全なくらい恋愛してないし」
「不健全って」
「それであんな恋愛ソング書くんだから」
気まずさからか茶化すようにソアは笑った。
デビューしてから恋愛は自ら遠ざけてきた。エマとかユジンは内緒で彼氏を作ったり片思いしていたこともあるみたいだけれど、リスクを考えてしまうと恋愛しようとも思わないのだ。
テヒョンさんは本当に時間を見つければここへ来てくれている。政治家などが利用したりもする病院なので内部から情報が漏れたり撮られる心配はまずないだろう。実際付き合ってもいないのだ。友人とも呼べやしない。ただの同業者。同じ、被害者。
「……日本に帰ろうと思ってるんだよね」
「え？」
「退院したら、だけど。家族に会いたいなと思って。Thetisもツアー始まっちゃうでしょ？」
「……全然帰れてないって言ってたもんね」
「うん。身体を治すのももちろんだけど、精神的にも休憩したいっていうか」
「うん。そうだね。……うん」
止められることはないだろうと思っていてもソアは泣きそうな顔をして私を見上げる。
「……帰ってくる、よね？ちゃんと、私たちのとこに」
私は、曖昧に笑って頷いた。
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とりむねにく(プロフ) - すごくすごく好きです、陰ながら応援しています！ (2021年8月25日 0時) (
レス) id: 69a1b6ff8d (このIDを非表示/違反報告)
lu(プロフ) - ゆっこさん» コメントありがとございます！よろしければ最後までお付き合いください！ (2021年7月10日 11時) (レス) id: 02c879ed67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます！続き楽しみにしています！ (2021年7月8日 0時) (レス) id: 354b579e15 (このIDを非表示/違反報告)
lu(プロフ) - うみさん» コメントありがとうございます！嬉しいです、完結まで書こうと思うのでお付き合い下さい (2021年7月7日 18時) (レス) id: 02c879ed67 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - とっても好きな雰囲気の作品に出会えました！！ありがとうございます！続き楽しみにしてます！ (2021年7月6日 12時) (レス) id: 562e9c2773 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：lu | 作成日時：2021年7月4日 3時
