ピーナツバター (ページ7)

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とは言うものの、しっかりと振られた私はそれから飲みに行く勇気もなく賢ちゃんからの連絡を無視し続けた。

あの日の帰りに、仕事でも一緒になることもあるからいつも通りでいいと賢ちゃんには伝えた。

だから

"A飲みいかん？"

"最近忙しい？時間空いたらまたせんべろ行こや"

"おーい。元気？"

"Aの好きそうなお店みつけてん。どう？"

"返事ください"

運がいいことに劇場も被らないから会うこともない
LINEの他にも何件か電話も来てたけど全部無視した

でも、お互い東京を拠点に活動してるからこのまま会わないなんて出来なくて

ある日テレビ局の廊下でバッタリ会った

『久しぶり。元気？』

「うん。なんとか。』

『Aこの後さ、飲みに…「川西さん！」』

賢ちゃんの言葉を遮ったのは、賢ちゃんが想いを寄せるタレントさんだった

タ「あ、今お邪魔でした？？」

本当に申し訳なさそうに尋ねてくる彼女は
私からみても可愛らしい女性だ

「いえ。どうぞ」

タ「この間のイタリアンすっごい美味しかったです！本当にありがとうございました！また、ご一緒したいです。」

『あぁ。また、誘うな』

タ「はい！連絡お待ちしてます。」

『じゃ、また』

ペコリと頭利下げた彼女は
スカートを靡かせながら去っていく。

数歩歩いた後振り返って

タ「あっ！…私からも連絡していいですか？」

『もちろん』

タ「ふふふ。やった。…じゃまた」

良かったじゃん。賢ちゃん。
好きな人とちゃんと仲良くなってるじゃん。

賢ちゃんと向き合うことをやめた私に
傷つく権利なんてないし、
彼女のことを疎ましいとも思わない。

そんなふうに思える資格は
今の私には

ない