ピーナツバター (ページ4)

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2年前

『Aは1番可愛い後輩やな。』

「えぇ〜、リリーさんの1番とか嬉しいです笑」

『ほんまに1番可愛い。やからみんな手出さんといてな？』

芸人仲間で飲むたびにリリーさんはこう言ってくれる。

『飲み会は俺の横じゃないとあかん。』

とか

『酔った可愛い姿とか他の奴らに見せたないから烏龍茶だけ飲んどいて』

とか

最初はからかわれてるだけだと思ったけど
そんなことを言われて意識しないわけもなく
気づけばリリーさんのことを本気で
好きになっていた。

でも、リリーさんはそうじゃなかった。

いつものメンバーで飲み会した次の日、楽屋に入ろうとドアノブに手を置いた時。中から話し声が聞こえて

「で、リリーさん。昨日Aとどうやったんですか？」

『なにが？』

「お持ち帰りしてたじゃないですか！」

『いや、酔とったから家まで送っただけやけどな。』

「いや、リリーさんが手出さない訳ないじゃないですか！」

『俺のことなんと思っとるん笑そんな感じじゃないけどな。それに、

Aは抱けんやろ笑』

全身から血が引いていく感覚ってこれか。

この続きを聞く勇気もなければ
今笑顔で挨拶できる気もせず
そのまま楽屋を離れた。

フラフラ歩き回っていると、すでに喫煙室でタバコを吸っている盛山さんを見つけて

盛「おぉ、A！おはよう！」

「…」

盛「どうしたんや。なんや元気ないなぁ。」

「あの…」

いつもと違う雰囲気をすぐ感じ取ってくれた盛山さんはタバコの火を消して私の目線まで屈んで私の言葉を待ってくれる。

「タバコ、一本ください。」

盛「はぁ！？Aタバコなんて吸わんやろ！？」

「私が吸っちゃ…ダメですか？」

盛「リリーに殺されたないもん、俺。」

「一本だけ、ね？お願いします！」

なんとか粘って、「俺からもろうたって絶対言うなよ」って念を押されながらもらった一本のタバコ

それから落ちていくのは早かった