ピーナツバター (ページ13)

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最期　ryuichi.h ページ13

一般人×芸人
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雪の降る夜に、Aが亡くなった

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最後の最期まで彼女らしかった

『隆一君…。もう、あかんわ。』

「何言うてんねん。
俺さっき来たんやからさ
まだ起きといてや？」

『私…子供か….なんかと…思…われてんの…？』

どんどん息が荒くなっていく彼女に
最期がもうそこまで来ていることを
思い知らされる

もう、解放してあげよか

「なぁ、A。」

『…？』

「俺はまだこれから先も生きていく。
けど、怖いんよ。…怖くてしゃーない。
Aと過ごした時間が、
過去の話になってまうのが、
何より怖いねん。」

『…なんや、ねん…その悩み…』

「あぁ、もう。そんな笑わんとき
…第一笑うところちゃうし…」

『隆一君には…未来があんねん…
忘れて欲しい…とは、正直思わん…
でも、素敵な…他の誰かと…出会って…
結婚して…っていう普通に幸せな…
人生を…送って欲しい…』

こんなに大きな愛情を
俺は貰ってええんやろか
俺は何もしてあげられへんかったのに
俺は、俺だけが…

返す言葉をなくして頭で色々考えてると

『隆一君。』

凛とした声が病室に響いた

「ん？なに…？」

『返事、は？』

「……」

『ほんまにヘタレやな？
誰よりも幸せになったる！
くらいの勢いないの？』

「いや〜…けど…」

『けど、なんなん？』

「…。」

『こんな隆一君残してうかうか
死んでられへんやん？』

「ちょ！ごめん…。Aそんな
怒らんでもええやんかぁ〜」

『ちゃんと、なってな？…幸せに』

「うん。分かった。」

『たまにはお墓参りきて欲しい』

「絶対行くよ」

『漫才で大きな賞とか取った時は
知らせてほしい』

「あたりまえやん」

さっきまでキツそうやったのに
他愛のない話で盛り上がって
笑えば病気って治るんちゃん？
とか呑気に考えた俺は
安心しきった俺は気づけば寝てもうてた

寝りに落ちる直前に、小さく

『行ってきます』

って聞こえたのは、聞き間違いではなかった。

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