２６。 ページ26
.
「このお酒、絶対Aちゃん気にいると思って！」
レトくんはお土産に京菓子と地酒をくれた。明日会社で会うのに、わざわざ新幹線から私の自宅に直接来るのが彼らしい。
「昨日ねー、うっしー酔っ払いすぎてひどかったんだよ。ほら、見て見て」
寝ぼけているのか誰かの膝枕で、すやすやと眠る牛沢さんは小動物のよう。かわいいねと笑うと彼は不思議そうな顔で私を見つめてる。
「Aちゃん、寝不足？クマできてるけど」
「え、？そうかな…気のせいだよ！」
昨日は疲れ切っていたし、クマもできるよなあと心の中で思いながらやんわりと言うと彼は納得したようですぐにまた画像を見せてきた。
「でね、この時フジくんがさ〜…」
土産物のお酒と彼が買ってきたおつまみを食べながら久々に2人だけで飲む。彼は楽しそうに昨晩の話をしてくれた。
「やっぱり結婚式見たら、結婚したくなったなあ」
「レトくんも結婚願望あるの？」
「え〜〜？あるよぉ、そりゃあAちゃんがお嫁さんだったらなあって思うもん」
ふにゃふにゃになってえへへと照れ臭そうに笑う彼は今にも眠ってしまいそう。
愛されている、その実感は十分すぎるほど与えてもらっているのに、何故か思い出すのは昨日のキヨくんの温もりとあの日の香水の香りだった。
「レトくん、もう寝ないと明日起きれないよ。ほら。」
「ん〜…だっこお！」
立ち上がるとよろけて私の肩に頭を乗せる彼。なんとかベッドまで運び、レトくんは横になるとすぐに眠りについた。頭を軽く撫で、いつもはベッドに横に布団を敷いていたが、今日はリビングのソファで眠りについた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴより | 作成日時：2019年10月20日 7時
