【rtrt】不安症の彼 (ページ25)

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ブーブーと鳴り響く着信音で目を覚ます。全開のカーテンから差し込むのは朝日ではないことだけは分かった。いつものベッドに横になっていることから、きっと彼が運んでくれたのだろう。

「っ、もしもし！すみません寝坊しましたっ」

『そうだと思ったよ…まったく。出来るだけ急いでな。打ち合わせには間に合わせろよ』

内藤さんの声で頭が覚め、リビングに行くとソファでいびきをかいて眠るキヨくんがいた。昨日はあのまま眠ってしまったらしい。皺だらけのドレスを脱ぎ捨て軽くシャワーを浴び、すぐ部屋に戻る。

「キヨくん起きてください！遅刻します！」

「ん…？……っは！やべ！遅刻！」

キヨくんには先に家を出てもらい、タクシーで会社まで向かってもらった。10分ほどで身支度を整え、私はダッシュでマンションを出る。

ギリギリで会議室に滑り込み、その日の仕事は無事に終えた。

レトくんAちゃんもう寝た?おやすみ

レトくん今から新幹線乗って帰るよ。

何件か溜まっていたレトくんのLINEを急いで返す。昨日の出来事は無かったことにして。

レトくんには過去のトラウマの話はしたことがない。激昂されるのは目に見えていたし、心配をかけたく無かったから。それをキヨくんに伝えると秘密にした方がいいと諭され、昨日の記憶は心の奥底にしまうことにした。

あの時、側にいてくれたのがキヨくんでよかった。

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